「SmartKid Maths」は幼稚園〜小学2年生(4〜9歳程度)を対象に、ドリル形式で算数を学んでいくアプリ。開発陣に心理学や教育学などの研究者も招き、科学的な知見に裏付けられた効率的に学べるAIシステムを搭載しているのが特徴だ。正答率や分野ごとの習熟度などを解析し、遊べば遊ぶほどパーソナライズされていく。
子どもたちのやる気を引き出し楽しんで取り組んでもらうため、デジタルペットを育てる形でステージが進んでいく。プレイヤーは個性ある猫のキャラクターに正解を“教える”中で学んでいくという発想だ。日本の「たまごっち」も開発のヒントにしたという。
言語の壁なく世界共通である算数を題材にしていることもあり、すでに世界100カ国以上で利用されている。今後対象年齢の拡大や、物理や科学などの自然科学、地学などで同様のノウハウを使ったツールを開発予定だ。
クラウドベースのWebアプリ「10monkeys.com」も単元ごとの設問にドリル形式で回答していくタイプ。教師や保護者向けの機能が充実しており、子どもたち1人1人の習熟度を単元ごとに確認できる点が好評だという。
「ゲームとして楽しんで終わりではなく、結果を元に大人が指導に利用できることを第一に考えている。デジタルに移行するというより、対面の指導をより効率的にするツールというイメージ」(カトリ・ビョークルンド マネージング・ディレクター)
学校や塾、図書館などに導入されており、フィンランドをはじめ英国やオーストラリアなど9万人以上のユーザーを抱える。要望の多かったスペイン語版をリリースしたばかりで、今後さらにグローバル展開を広げていきたいという。
学校ではなく、会社でも「教育」は大きな課題だ。Tribe Studiosは、複数人でストーリーを作り上げる「ドラマゲーム」という手法を使った接客や営業、チームビルディングなどのツールを企業に提供している。
参加メンバーにはそれぞれ役とミッションが与えられ、選択式ではなく自由に会話しながらゲームを進める。プレイヤーの状況を見ながらシナリオが変化し、長くても2、3時間程度で終了。場所や時間的な実施コストが低い、オンラインゲーム形式で与えられた役をアバターを介して演じるので没入しやすい――などが特徴だ。
このノウハウを応用し、一般ユーザー向けのエンターテインメントゲームとして「Velvet Sundown」を近くリリース予定。豪華客船の上、複数のプレイヤーがそれぞれの立場で与えられた指令をクリアする過程でシナリオが交差していく内容になっている。
国内人口600万人と市場が小さく、多くの人が英語を日常的に話せることもあり、最初からグローバル展開ありきでスタートすることの多いフィンランドのゲーム産業。教育アプリに関しては、国内の学校や企業を中心に導入を進めながらブラッシュアップしていくケースが多いようだ。
開発者が口をそろえていたのは「教育のニーズに国境はない」。音楽や映像、算数、いずれも言語に縛られない分野だ。企業同士で連携し、“フィンランド発”のブランドイメージをさらに向上させていくことを目指す。
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