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フジ「とくダネ!」の不妊治療報道、取材先の医院が抗議 「事実と異なるなど重大な問題」

» 2014年07月15日 12時06分 公開
[ITmedia]
画像 リプロダクションクリニック大阪の公式ページより

 「事実と異なる点や説明不足など重大な問題があった」――フジテレビの情報番組「とくダネ!」の7月14日の放送で取り上げられた不妊治療院・リプロダクションクリニック大阪が、フジテレビに抗議を申し入れたことを公式サイトで明らかにした。石川智基・同院CEO(男性不妊専門医)がブログで具体的な問題点を指摘し、取材不足を批判している。

 番組では、ネットで申し込んで郵送で検査する精液検査会社を紹介した上で、同院の不妊治療を受けているカップルに取材し、治療の様子を紹介していた。

 放送後、郵送による精液検査を同院で行っていると誤解した視聴者から多くの問い合わせを受けたという。石川CEOは「当院では郵送での精液検査を行っていない」と説明。検査会社と同院は「全く関係ない」という。

画像 石川CEOのブログより

 そもそも、時間が経つと精子の形態が変わり、精子の有無しか分からないため「郵送の精液検査は絶対ありえない」という。検査会社は精子の郵送を受けた後、冷蔵保存していたが、精子の保存は「32〜34度がベストで、冷蔵するのはダメ。さらに郵送は常温で郵送後に冷蔵などもっての他」としている。

 検査費用は格安だが、「一般的な精液検査とあまりにレベルが違いすぎるものに対して払うという感覚が必要」と注意を呼び掛け、「視聴者には同列の精液検査での比較ととらえられてしまいます。ありえません」「専門医からすると、営利主義の絶対にやってはいけない行為」と批判する。

 郵送による精液検査を取材したコーナー前半は、「あまりに取材が不足していると言わざるを得」ず、「抗議対象になり得る内容」と批判している。

 また、「男性不妊治療医が45人しかいない」と報じられたが、これも「ありえません」。認定されている専門医が45人だという。

 後半で紹介された同院の治療についても複数の誤りを指摘。精子死滅症の精液検査の映像が不適切だったほか、精巣から精子を取り出す治療「TESE」の妊娠率の表現や、治療中の解説ナレーションにも誤りがあったという。さらに、不妊治療を受けたカップルの受精卵の5日目の様子として紹介された画像は、5日目の写真ではなかったという。

 石川CEOは「私自身全く監修にかかわっておらず、内容に関して心配しておりましたが、重大な相違点がありました。誤解から当院に問い合わせが多く寄せられていますが、ご勘弁ください」としている。

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