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複数端末の同時利用者は脳の認知・感情制御部分の灰白質密度が低いという研究結果

» 2014年09月25日 12時43分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 スマートフォンやPCなど、複数の端末の同時利用を頻繁に行う人は、1度に1つの端末だけを利用する人に比べ、意思決定、共感や情動といった認知および感情制御にかかわる脳の部分の灰白質密度が低い──。そのような研究結果を発表する論文が9月24日(現地時間)、米科学雑誌「PLOS ONE」に掲載された。

 英サセックス大学の研究によると、スマートフォンやノートPCその他のメディア端末を同時に利用する、いわゆるマルチタスク行動により、人間の脳の構造が変わるという。

 この研究は、高度なマルチタスク行動と、注意力散漫および落ち込みや不安などの感情的問題との間に関連性があるとする別の研究を裏付けるものだ。

 この論文を発表した神経科学者のケプ・キー・ロー氏と金井良太博士は、75人の成人被験者にマルチタスクに関する質問をし、全員の脳の機能的磁気共鳴画像(fMRI)を撮影して関連性を調べた。

 その結果、マルチタスクを行う人の前帯状皮質(ACC)の灰白質密度が、行わない人よりも目立って低かったという。ACCは、認知および感情コントロール機能を担う部分だ。

 brain 画像で青い線が交差している部分がACC。グラフは、マルチタスクスコアが高い人ほど灰白質密度が低いことを示す(資料:PLOS)

 ロー氏は、こうした変化の明確なメカニズムはまだ不明だが、少なくともマルチタスク行動とACCの灰白質密度には関連性があることは明らかだとしている。

変更履歴:金井良太博士のお名前の漢字が誤っておりました。大変申し訳ありません。お詫びして訂正いたします。[2014/10/3 6:00]



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