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FacebookのザッカーバーグCEOが来日 「過去最大の後悔」など語る

» 2014年10月16日 18時01分 公開
[山崎春奈,ITmedia]
photo Facebook マーク・ザッカーバーグCEO

 米Facebookが10月16日に都内で開いた日本国内のパートナー向けイベントに、マーク・ザッカーバーグCEOがサプライズ登場した。これまでで最大の後悔を聞かれ、「モバイルへの対応が遅れたこと」と苦笑しながら話した。

 ザッカーバーグCEOは初めて来日した2008年を振り返り、当時は15万人程度だった日本のユーザーが2300万人(月間アクティブユーザー)にまで成長していることを喜ばしいとしつつ「日本は今までもこれからも重要な市場、さらに伸ばしていきたい」と話す。

 日本市場の特徴として(1)求められるプロダクトのレベルが高いこと、(2)モバイル市場の大きさと成熟、(3)独自文化の形成――の3点をあげる。

 特にモバイルの利用はスマートフォン以前のフィーチャーフォン時代から浸透していることもあり、国内ユーザーの95%がスマートフォンでアクセスしている現状だ。今後の世界動向の変化を見据える上でも「日本のモバイル市場の進化の過程は参考にしていきたい」という。

 非アルファベット圏地域として、名前の登録をアルファベットではなく漢字でも可能にするなどの言語の部分だけでなく、プロフィール欄に血液型の項目を設ける、QRコードを使った友達申請に対応など、土着の文化に合わせた機能を提供している。

 本社以外で開発スタッフのいるオフィスは世界でも珍しく、先日発表された「関西弁」の言語設定も「楽しんでもらえたようでよかった」と笑う。同日発表した新機能「災害情報センター」は2011年の東日本大震災をきっかけに開発されたものだ。

 創業してこれまでで一番悔やまれることは? という質問には「モバイル移行が遅かったこと」と苦笑いしながら回答。同社はモバイル対応の遅れを過去に再三指摘され、モバイルアプリにHTML5を採用したことを「最大の戦略ミス」とネイティブに書き直したこともあった。

 ザッカーバーグCEOは「どうしても今一番使われているものに人員もリソースも使いがち。PCからモバイルへの急速な変化を感じ、過ちに気付いたのは2011年から2012年にかけてだった。もう少し早くに開発や計画に生かせていれば」と振り返った。

 今後10年で注力したいこととして掲げるのは、「“残りの50億人”にもインターネットを」。世界人口の3分の2にあたる約50億人はインターネットにアクセスされない現状を踏まえ、細い回線でも使えるアプリの開発やオープンソース化などサービスレベルだけでなく、インフラや電力源の整備にも取り組んでいる。共同体「internet.org」などでの活動を通じ、誰でも安価にインターネットを楽しめる世界を目指す。

 「スマートフォンがここまで当たり前になったように、VR(仮想現実)やウェアラブル端末のような新たなコンセプトやデバイスは今後5〜10年かけて成熟、一般化していくはず。2020年頃にはITを取り巻く状況や主流は、また大きく様変わりしているだろう」(ザッカーバーグCEO)

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