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物語の世界へ導く色彩を探して 藤ちょこさん教えて! 絵師さん

» 2014年12月15日 11時00分 公開
[山崎春奈ITmedia]
photo 船団は空を征く

クリエイター:藤ちょこ

Webサイト:fuzichoco.com - 藤ちょこ

pixiv:藤原/Twitter:@fuzichoco

 物心つく前から絵を描いていました。幼稚園のころ、スケッチブックに向かっている時に、クラスの子から「絵を描くのが好きなら、漫画家になれば?」と言われたことを未だに覚えています。それでなんとなく”まんがか”というものになれば絵を描いて暮らしていけるらしいぞ! ということを知りました。まだ漫画というものを読んだことがなかったにも関わらずです(笑)。

 ……というスタートだったので、小学生から高校生までは、漫画家になるべく定期的に読み切り漫画を描いては賞に応募していました。小学生時代はCLAMP先生や種村有菜先生の絵を模写していましたね。私の絵にどことなく少女漫画的な要素があるとすればそのせいかもしれません。ちなみに、人生で初めて全巻そろえた漫画は「カードキャプターさくら」です。漫画家になるなら扉絵のためにカラーイラストも描けるようにならねば……とイラストも雑誌に投稿するようになり、そこからカットのご依頼をいただいたのが人生で初めてもらった絵のお仕事でした。

 それまでは「絵を描く職業=漫画家」というイメージしかなかったのですが、イラストを描いてごはんを食べていく、という道もあるんだなぁと、その時気付かされました。少しずつ雑誌で大きく掲載してもらえることが増え、作品をWebで発表したことがきっかけで、ぽつぽつと絵仕事をお声かけいただく様になり、今に至ります。

 現在はフリーランスのイラストレーターとして、主にライトノベルの挿絵やカードゲームのイラストなどを手がけており、国内のグループ展示や、海外のイベントにもときどき参加しています。ほぼ毎日、1日10時間くらいは手を動かしているのではないでしょうか。絵を描く以外の細々した仕事ももちろんあるのですが、そのあいだも描きたくてそわそわしています。

 作画は液晶ペンタブレット導入を機にフルデジタルに。主に「Cintiq 24HD」を、補佐的に「Intuos4」、出先では「Cintiq 13HD」を使っています。ソフトは「openCanvas」「CLIP STUDIO」をメインに制作し、最後の色調整やエフェクト加工、CMYK変換に「Photoshop」を使っています。

 昔は背景を描くのが大の苦手で、キャラクターに適当に効果背景をつけただけのイラストばかり描いていました。あまりにも描けなくて、これでは駄目だと一念発起。まずは風景写真の模写、次にイラストに無理やり背景を入れ――積極的に描くようになったのは中学3年生くらいでしょうか。この経験が今の作風のきっかけになっています。

 最初は苦手克服のために描いていた背景も、いつの間にか楽しく描けるようになりました。楽しいけれど、未だに背景が得意という意識はなく、基礎的なことが抜けているなぁと日々思い知らされています……。これはキャラクターにも言えることですが。特にデッサン力の無さを痛感することが多いので、基礎練習にもしっかり取り組みたいと考えています。

 絵の感想をもらえたり、仕事で携わった本などを「買ったよ!」とご報告いただけるのは本当にうれしいです。ごくまれに「あなたの作品を見たことがきっかけで、絵を描き始めました」と言われることがあって、自分の作品が誰かの人生に影響を及ぼすことがあるなんてすごく光栄なことだなと感じます。それから、今までは雲の上の存在だった憧れの作家さんに直接お会いすることができるのも、絵を描いていなければありえなかったことですね……役得です。

教えて! 自慢の1枚

船団は空を征く

 画面の中に吸い込まれるような絵にできたのではないかな、と。

賢者の弟子を名乗る賢者

photo

 ライトノベルの表紙として描いた作品です。キャラクターの魅力と、背景の魅力をうまく両立できた気がして、気に入っています

ガラスウリの少女

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 こだわりは色彩です。暖色は手前に飛び出して見え、逆に寒色は奥に引っ込むように見える、という色の性質を利用した「色彩遠近法」という技法を基本に塗ることが多いです。

 それ以外は感覚で、「ここに赤を置いたから、バランスをとるためにあっちにピンクを置こう」というような、パズルを組み立てるようなイメージで塗っています。

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