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口コミだけで月間10億PV、ベストセラー続々 京都発の小説投稿サイト「小説家になろう」の歩み(1/4 ページ)

» 2014年12月25日 11時07分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 「小説家になろう」から生まれ、紙の単行本として刊行された小説の数々

 「魔法科高校の劣等生」「ログ・ホライズン」――100万部を超えるベストセラーとなり、アニメ化もされたこれらのライトノベルは、1つの投稿サイトから生まれた。「小説家になろう」。2004年にオープンした小説投稿サイトだ。京都市内のベンチャー企業・ヒナプロジェクトが運営している。

 代表の梅崎祐輔さん(28)が大学生のころ個人で公開したサイトで、4年前に法人化した。口コミだけで成長し、掲載小説数は28万作品以上、登録ユーザーは50万超、月間ページビュー(PV)は約9億5000万。ここ数年は、投稿された作品が単行本として出版されるケースが続出している。

 執筆・閲覧とも完全無料。ブログのようなユーザーインタフェースで簡単に小説を投稿でき、メールから投稿もできる。アクセス数やコメントなどを通じて読者からの反応を確認したり、作家と読者が交流することも可能だ。

もっと小説を読みたくて

 「小説家になろう」を作り始めたのは、梅崎さんが高校3年生だった03年の10月ごろ。AO入試で大阪の大学に合格が決まった直後だった。

 「もっと小説が読みたい」――そんな思いが出発点だった。推理小説が好きな梅崎さん。自宅のPCをネットにつなぎ、個人サイトや掲示板サイトなどで公開されているネット小説を読んでいた。当時は「ケータイ小説」誕生以前。投稿小説を集約して公開するサイトは見当たらず、自ら作ることを思い立ったという。

画像 「小説家になろう」トップページ

 趣味で個人サイトを作ったことはあったが、本格的なプログラミングは未経験。技術書を買い込んで勉強し、独学でコーディングした。

 こだわったのは、文字数制限なく簡単に投稿でき、PC・携帯どちらから見ても読みやすく表示できるサイトにすること。長文テキストを一気に投稿しても、自動でPC・携帯に最適化し、ページ分割して表示される、当時としては画期的な仕組みを作った。

口コミだけでじわじわ拡大

 サイトを公開したのは、大学1年生となった04年4月。当初はなかなかアクセスが集まらなかったが、自作のサイトを宣伝する「宣伝掲示板」などで宣伝して回り、投稿者や読者を集めた。最初に小説が投稿されたときは、とてもうれしかったという。

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