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口コミだけで月間10億PV、ベストセラー続々 京都発の小説投稿サイト「小説家になろう」の歩み(2/4 ページ)

» 2014年12月25日 11時07分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 読み手も意識しながらサービスを拡大していった。小説家になろうに投稿された作品を読むことに特化した読者向けサイト「小説を読もう」や、投稿作品をPDF化し、縦書きで読める「タテ書き小説ネット」も構築した。


画像 小説を読もう

 ちなみに梅崎さんは“読む専”で、小説を書いたことはないという。「プログラムは書けたけど、小説は全然書けなかったので」

 投稿される小説数は、当初は1週間に1作品ほどだったが口コミで評判が広がり、右肩上がりに成長。08〜09年ごろには1人では管理できない規模にふくらんでいたという。「魔法科高校の劣等生」が初めて投稿されたのも08年。投稿作品が書籍化されるケースも出始めていた。

東京だったら、今の「小説家になろう」はなかった

画像 オフィスは京阪電鉄の線路のすぐ脇にある

 同サイトを運営しているヒナプロジェクトは当初、大学の友人同士のグループだった。08年3月、「ゲームサイトを作ろう」と友人3人で発足したが、「小説家になろう」の規模が拡大しすぎて手に負えなくなり、09年3月からサーバ管理やWebデザイン、問い合わせ対応などを手がけるようになった。

 ヒナプロジェクトは10年3月に法人化。会社として腰を据え、サイト運営を始めた。オフィスを構えたのは京都市中心部から少し離れた住宅街・中書島(京都市伏見区)。創業当時のメンバーの自宅を線で結んだときの中間点に近かった――という理由で選んだ。現在は社員13人の企業に成長。平均年齢は26歳だ。

 京都で起業する人の多くが中心部のオフィス街に拠点を構えるが、梅崎さんは「都会や人混みは嫌い」だと笑う。「当社はユーザーを最も意識している。ユーザーに最も近いのはインターネット。インターネットに専念できる場所を意識した」

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