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「デイジーデイジー」歌った半世紀前の音声合成をキャラ化した「chipspeech」、その意外な歌唱力(2/3 ページ)

» 2015年01月21日 16時48分 公開
[松尾公也,ITmedia]

 1980年に世に出たDECtalkを元にしたシンガー「Dee Klatt」は、オリジナル開発者であるデニス・クラット博士の名前そのままだ。Dee Klattは、chipspeechの中では最もバーサタイルで、老若男女を歌い分け、ハスキーボイスまでをこなす。そのため、キャラクターイメージが4つの顔。全宇宙で指名手配されているために、顔と声を自由に演じ分けられるアンドロイドという設定はそこからきている。

photo Dee Klatt=公式サイトより

 このほかにも音声合成の歴史が5つ、バーチャル歌手となっている。そのうちの2つは、同じメーカーの音声合成チップを使っている。Speak & Spellという知育玩具で使われたTexas Instrumentsの音声合成チップと同系統のものだ。

photo Terminal 99

 1つは、現在でもカルト的な人気を誇るが当時はApple IIやCommodore VC-20などに押されて苦戦していたTIのパソコン「TI-99/4A」のオプションとして提供されたTTS(Text to Speech)専用カートリッジ「Terminal Emulator II」をベースにした「Terminal 99」というAIキャラ。信奉者の魂を吸い取るAIという設定がある。もう1つは、同じくTI-99/4A向けのゲーム「Persec」に登場する女性ボイスを擬人化した「Lady Persec」。このゲームで小惑星の数を読み上げる機能があるためか、交通管制官という設定だ。

photo Lady Persec

 「Q*Bert」「Gorf」など80年代のアーケードゲームで使われたVotrax SC-01というスピーチシンセサイザーを元にしたバーチャル歌手が「Bert Gotrax」だ。指名手配中のグラフィティーアーティストという奇妙な設定がある。

photo Bert Gotrax

 日本ではバンダイから1982年に販売されたゲーム機Intellivisionの音声合成オプションで使われた音声合成チップの兄弟分であるGeneral Instrument SP0256-AL2をキャラ化した「Spencer Al2」はAIという設定だ。

photo Spencer Al2

 世界初の音声合成ICを開発したForrest Mozer博士はそのチップに自身の声を圧縮して搭載し、それが70年代から80年代にかけてのアーケードゲームに使われた。代表的なゲームとしては「Berzerk」がある。そのサウンドを使ったバーチャル歌手は「Otto Mozer」。Ottoというのはこのゲームのキャラで、Mozerはもちろん生みの親から。

photo Otto Mozer

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