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「デイジーデイジー」歌った半世紀前の音声合成をキャラ化した「chipspeech」、その意外な歌唱力(1/3 ページ)

» 2015年01月21日 16時48分 公開
[松尾公也,ITmedia]

 コンピュータ音声合成による最初の歌声は、1961年、IBMメインフレームを使った「Daisy Bell」。その歌声をVOCALOIDのように自由に使えるソフトが1月に登場した。名前は「Plogue chipspeech」。キャラ絵、設定付き、英語と日本語で歌える。

 「Plogue chipspeech」はカナダのPlogue Art et Technologieが開発・販売する歌声合成ソフト。音楽制作ソフト(DAW)用のプラグインとスタンドアロンの両方があり、95ドルでダウンロード販売されている。VST/AudioUnits/RTAS/AAXプラグインに対応し、CubaseやLogic、GarageBand、ProToolsなど大多数の音楽制作ソフト(DAW)で利用可能だ。

 操作画面でシンガーを選び、パラメータを指定して、歌詞(英語と日本語)を入力する。歌詞は127パートまで指定でき、それをキーボードの打鍵(もしくはMIDI音符の指定)で次々に歌っていくという仕組みだ。DAWを組み合わせれば記録・編集もできる。

 収録されている「歌手」は、基本7種類。さらにそのパラメータを変えたコーラスなどのバリエーションなどが利用できる。その1つひとつが音声合成の歴史において重要なマイルストーンであるところが興味深い。ではその7人とは誰なのか、見ていこう。

7人のユニークなバーチャルシンガーとその生い立ち

IBM 704が歌う「Daisy Bell」、こちらが本物
photo Dandy 704による「デイジーデイジー」

 まず、冒頭に紹介したIBMの大型コンピュータ704で使われた物理モデリング方式による音声合成をサンプリングした「Dandy 704」。キャラクター設定は、19世紀のスチームパンク紳士。典型的なロボボイスとしても使えそうだ。Daisy Bellの歌詞はプリセットされているので、キーボードをつなげて演奏するだけで歌わせることができる。

 「2001年宇宙の旅」でボーマン船長にメモリモジュールを抜かれながらHAL9000がDaisy Bellを歌うシーンの歌い方に似せてDandy 704に歌わせてみた作例がこちら。


 

 

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