ヤマハとしては初のVOCALOID米国進出する記念すべき製品となった「CYBER DIVA」が発表された。そのソフトウェアをゲットしたのでさっそくオーディションしてみた。半日ほど使ってみた感想は、「これは使い物になるな」だった。
実はVOCALOID4をインストールして使うのはこれが初めてなので、まずはセッティングから入る。まず自分の環境から説明すると、普段はMacBook AirでLogic Pro Xを使っている。基本トラックとボーカルの録音はiPhoneかiPadのGarageBandで、それをLogicに変換するという形式だ。しかし、この環境は今回は使えない。WindowsならスタンドアロンのVOCALOID4 Editorが使えるのに対し、MacではCubase+VOCALOID Editor for Cubase(ボカキュー)を使うことが前提となるからだ。
別のマシンに入っていたCubase LE 7をMacBook Airに移して、VOCALOID4用の環境を作って、VOCALOID Editor for Cubase、そしてCYBER DIVAをインストールした。ヤマハの英断により、現在ではCubaseのどのエディションでもボカキューが使え、さらにはボカキューのパッケージ版にはCubase AIが付属するので、そこにそのままインストールできる。
ボカキューは、Cubaseの中にVOCALOIDのインストゥルメントトラック(VOCALOID4 Instを選択)を作り、そのリージョンを選択したうえでMIDIメニューの中の「VOCALOID4エディターを開く」を選ぶ。すると、ボカキューの画面になる。SINGERが「CYBER_DIVA」になっており、画面左のピアノロールをクリックすると、「ooh」と歌ってくれる。
まずはなんといってもグロウルを使ってみたい。それがCYBER DIVAの魅力だとヤマハも言っているし。そこで、昔、ぼかりすを利用して巡音ルカの英語DB向けに作ったVSQファイルを読み込んで修正し、グロウルを追加してみた。それがこちら。
非常に短いが、グロウルのカーブを描くことで、ジャニス・ジョップリンとまではいかないけど、かなりロックっぽい声になったと自分では思っているがいかがだろうか。ここではかなりガッツリとグロウルをかけているが、本来ならば要所要所で最小限にかけていくのがいいのだろう。そういうコメントもいただいている。
次はありものではなく、新規に打ち込んでみた。英語VOCALOIDの打ち込みでいつも大変なのが、フレーズの頭を低い音から正しい音にしゃくりあげる、通常「シャクリ」と言われている作業。日本語だと「わたし」を「わ」+「あたし」と分割して「わ」を半音か一音下げれば簡単かつなめらかにしゃくってくれるのだが、英語ではそれが簡単にはできない。ピッチカーブはできるだけ描きたくないのだが……。しかし、VOCALOID4には必殺技があった。MIDI鍵盤で弾けばいいのだ。
VOCALOID4では、MIDI鍵盤を使ってリアルタイムで入力するための補助機能がついている。VOCALOID4 Instという小さいウィンドウが通常は緑色なのだが、その左側にある鍵盤アイコンをクリックすると、オレンジに変わり、鍵盤を弾くとレスポンスよくボーカルが「ooh」を歌ってくれる。メロディーラインをハミングで弾いて、シャクリの部分などはピッチベンドのホイールを使ってリアルタイムで弾いていけばよい。
このやりかたで打ち込んでみたのが、カーペンターズの「遥かなる影」。カレン・カーペンターの発音は史上最高にすばらしいので、比べるとさすがにあれだが、CYBER DIVAはこれまでの英語VOCALOIDと比べると不自然さはかなり少なくなっている。公式デモ動画に対するコメントを見ても、発音については好意的な意見が多かった。
この曲のメロディーはCYBER DIVAの推奨音域よりも1音低いところで始まっている。全体的に高い方が得意な声色という印象だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR