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「やる以上は絶対の勝算を」 任天堂、スマホ本格進出の狙い なぜDeNA? 「ガチャ」は? 岩田社長語る(1/3 ページ)

» 2015年03月17日 21時38分 公開
[岡田有花ITmedia]

 「スマートデバイスとゲーム専用機の間に、架け橋を架けていきたい」――任天堂の岩田聡社長は3月17日、ディー・エヌ・エー(DeNA)との業務・資本提携について記者会見し、こう述べた。「やる以上は、絶対の勝算をもって臨みたいと考えてきた」という岩田社長は、「情熱」を感じたというDeNAとの協業で「この勝算を一緒に創り出すことを目指す」と意気込む。

画像 岩田社長(右)と守安社長

 両社は「マリオ」や「ゼルダ」など任天堂IP(知的財産:ソフトやキャラクター)を活用したスマートデバイス向けゲームアプリを共同開発・運営。任天堂の強力なIPとDeNAのスマホゲーム開発・運営ノウハウを組み合わせ、競争力の高いスマートフォンゲームをグローバルに展開する。

 任天堂はスマホゲームに本格的に踏み出す一方で、「ゲーム専用機ビジネスへの情熱や展望を失ったわけではない」とも強調し、新ゲーム機プラットフォーム「NX」(開発コードネーム)の開発を進めていることも明らかに。同社はゲーム専用機を「コア事業」として維持しつつ、スマホゲームの展開によりゲーム人口を拡大し、専用機にも誘導する狙いだ。

 DeNAはスマホ向けネイティブアプリの展開が遅れていたが、昨年スクウェア・エニックスと共同開発でリリースした「ファイナルファンタジー レコードキーパー」がヒットするなど他社のIP活用で成果を出し、「アプリ市場でも戦える手応えをつかんだ」(DeNAの守安功社長)ところ。任天堂の強力なIPと組むことで競争が激化するスマホゲーム市場で存在感を高め、グローバル展開を加速する構えだ。

スマホ向けに新規開発 「ゲーム機タイトルの移植はしない」

 任天堂IPを活用したスマートデバイス向けゲームアプリを新規に開発・運営。岩田社長は「ゲーム機専用タイトルをそのまま移植することはない」と断言。「ゲーム専用機とスマートデバイスはコントローラーの特性などが大きく異なり、単純な移植では最高のプレイ体験を届けられない」ためで、スマホ向け新規タイトルのみを展開する。第1弾として今年中に何らかの成果を出したいとしている。

 両社の役割はタイトルによって異なるが、任天堂がアプリの企画やフロントエンド開発を主に担当、DeNAがバックエンドのサーバ開発やユーザーの行動分析、日々の運営などを主に担当する見通しだ。収益配分も個別タイトルごとに異なり、両社が割いたエネルギーや投資額などに応じて分配する。「両社の企業文化は真逆。お互いリスペクトを持って信頼関係を築き、大きな化学反応を起こしたい」(守安社長)。

 関係を中長期にわたって強化するため、任天堂はDeNAから発行済み株式の10%分に当たる自社株式を第三者割当により220億円で取得する。一方、任天堂もDeNAに株式の1.24%分に当たる自社株式を220億円で割り当て、両社で株式を持ち合う。「資本提携にも踏み込み、今回の提携内容に限らず、お互いの企業価値を向上させる取り組みは、是々非々展開していく」(守安社長)。

スマートデバイスとゲーム専用機の間に架け橋を

 「これまで任天堂は、スマートデバイスでのゲームビジネスに慎重な姿勢を崩さなかったのに、なぜ方針転換したのか疑問に思う人も多いだろう」――と岩田社長は言う。「私は、スマートデバイスでゲームをつくることそのものに否定的だった訳ではない」。

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