実際に遊んでいる子どもの保護者に、改めて魅力を聞いてもらったところ、「いろんなものを作るのが楽しい」「家やテーブルなどのオブジェを作るところが楽しい」など、「作ること」が第一に挙がった。マインクラフトの世界では、テーブルや暖炉などの家具から、トロッコなどの動く乗り物、家や城など大きな建物まで自由に作ることができる。また、作ったものを爆破して壊すことも楽しいという。
ゲーム世界で日本列島を再現した人もおり、昨年にはデンマークの政府機関が同国を再現したことも話題になるなど、作れるものは無限大。「面白さという点では、レゴに近い感覚かなと。決まったルールはないけれど、ある法則に従って応用していくといろいろ作れて、飽きたら破壊できる」――ある父親はこう分析する。
「冒険」の楽しさもある。「洞窟を探検してレアなアイテムを探すのが楽しい」「馬に乗って遠くまで行くのが楽しい」――など、広大なフィールドの探険を楽しんでいるようだ。
1人で遊んでいる子が多かったが、友達のワールドに遊びに行ったり、自分のワールドに招待する「マルチプレイ」を楽しんでいる子もいる。「子ども同士で集まる時間を決めてマルチプレイをつなぎ、マイクとスピーカーを使って会話しながら一緒にものを作ったりしているようです。完全に“未来”な感じです」(和田さん)
マインクラフトには「世界を救う」などの目標やゴールがなく、自分で自由に目標を設定し、遊び続けることができる。遊び始めて3年になる和田さんの娘は、「全然飽きていない」という。
「妖怪ウォッチの新作ゲームが発売されると妖怪ウォッチで遊ぶが、やり尽くしたらマインクラフトにまた戻ってくる。次のゲームが出るとしばらくやるが、また戻る……と、つねにマインクラフトが根底に流れている感じ。子ども達には、マインクラフトでやることがたくさんあるんですね」
マインクラフトの魅力は、大人には計り知れない面もあると和田さんは言う。「子どもにとっては、『大人には分からない、自分たちにしか分からない』という優越感も、あるんだと思います」。
コロコロコミックでは、PS Vita版の発売が決まった昨秋以降、マインクラフトを複数回にわたって特集してきた。初回の昨年10月号では、「ボクらの新しい遊び場」として紹介。もの作りや冒険、マルチプレイの楽しさを解説した。
ターゲットは「先端の子どもたち」。今コロコロコミックで最も人気の作品は「妖怪ウォッチ」だが、先端の子どもたちにはすでに物足りないコンテンツになっている可能性があると和田さんはみており、次の新たなチャレンジとしてマインクラフトを扱っている。「“とがったこと”をやるのも雑誌なので」。
マインクラフトブームはじわじわと広がり、ソフトの売り上げにもインパクトを及ぼしている。昨年10月に発売されたVita向けダウンロード版は小学生に人気で、累計販売数は2月までに50万本を突破。国内PS Storeで新作有料ソフトの最多ダウンロード販売本数を更新した。マインクラフトで遊ぶためにクリスマスにVitaを買ってもらう子どもも多かったようだ。今年3月にはVita向けパッケージ版が発売。子どもたちが利用しやすい環境がさらに広がっている。
今年1月〜2月に開催された子ども向けホビーイベント「次世代ワールドホビーフェア '15 Winter」(東京・大阪・名古屋、福岡で開催)では、Vita版マインクラフトを試遊するためのブースが大人気。会場によっては待機列が150分になり、操作の習熟度も想像以上に高かったという。
子どものマインクラフトブームは自然発生し、後からメディアやメーカーが気づいて追いついてきた――という構造だ。このような広がり方で小学生にブームとなったコンテンツは、少なくともここ10年はほかに思い当たらないと和田さんは言う。
ブームはこれからどうなるだろうか。「どかーんと売れるというより、じわじわ広がっている感じがある。きっとこの先も分母が少しずつ大きくなりながら広がっていくだろう」と和田さんは展望している。
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