マイナンバー制度を担当する甘利明社会保障・税一体改革担当相は6月2日の閣議後記者会見で、年金情報の大量流出問題が、マイナンバー制度の導入スケジュールに影響を与えるか問われ、「変更予定はない」と話した。
マイナンバーのデータベースは業務用のシステムと別に管理され、「厳重なファイアウォールで隔離されている」と強調。「今回の事案を検証し、絶対にこういう事案が起こらないよう対処していく」と話した。
主な一問一答は以下の通り。
――年金番号流出問題の問題についてどう考えているか。マイナンバーでいろいろな情報を扱うことに国民が不安を感じているが、見直しは考えているのか。
マイナンバーの導入スケジュールを変更する予定はない。今回の事件は、業務情報のデータベースのデータが、職員のPCを通じて流出したということ。本来、職員のPCにそのデータベースからのデータが移されていることはありえない話。しっかり調査をして、どうしてそういうことが起きたのかを検証する。
マイナンバーは、いわゆる、あて名のデータベースというのは、業務情報のデータベースとは別な管理をされている。その間(かん)にファイアウォールがある。マイナンバーにアクセスできる職員は極めて限定されている。みんながアクセスできるというわけではない。
システムとしてのファイアウォールと、アクセスする人間の制限、さらには、今回の事件を通じて、不要にデータベースから自身のPCにデータが取り込まれるということがなぜ起きたのか、そこのところはしっかり検証して、そういうことがないようにしていきたいと思う。
また、業務情報のネットを通じての連携は、暗号化して行われるわけであるし、その暗号化とマイナンバーは別物であるから、それらに乗っかっていくことはない。そこでも、ほかのカ所から別のカ所のマイナンバーにアクセスすることはできないということは申し上げておく。
――先週の産業競争力会議で提言された、医療情報の扱い(健康保険証とマイナンバーを記した個人番号カードの連携など:参考PDF)や、マイナンバー利活用についてはどう考えているか。
基本的に提言されている方向で行く。システム的には、保守の点検、さらに、人為的な意識は喚起していかないとならないと思っている。
何度も申し上げるが、マイナンバーのデータベースは業務データとは隔離されていて、その間には厳重なファイアーウォールがあり、アクセスできる人も特定の者に限られている。
――公的機関で個人情報を扱うリスクはどう考えているか。
それぞれの機関が分散管理をしている。その分散管理が、外部からひも付けで芋づる式に引き出すことは出来ない仕組みになっている。基本的にビッグデータ、AI、IoTの社会の中で、これらのデータを有効に活用していくことが、社会保障の確実な実行、効率的な行政運営、民間ビジネスのポテンシャルすべてに関わってくる。
世界中はその方向で進んでいるわけであるから、世界中にあるマイナンバー制度の、先進国として最後の参加者になるが、先行者のプラスマイナスのマイナスをすべて克服してプラスで参画できるようにしたいし、そうすべきだと思う。
――年金情報流出のような事態は、マイナンバーでは絶対起こらないと断言できるのか。
今回の事案を検証し、絶対にこういう事案が起こらないよう対処していく。
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