「私たち、無料です」――2014年11月、フリー素材アイドルとして商用非商用を問わず自由に使える写真素材を1000点以上公開し、話題になった双子ユニット「MIKA☆RIKA」。「予算ゼロで有名になる方法」を試行錯誤し生まれたプロジェクトの狙いと、その後の反響は。
人形のように並ぶそっくりな一卵性双生児の姉妹、MIKAさん、RIKAさんによるヒップホップユニットが「MIKA☆RIKA」だ。「双子の脱サラヒップホップユニット」とうたうように、2人とも以前は大手企業の1社員としてOL生活を送っていた。
ステージに立つようになったのは2年ほど前。友人のDJに自作の曲を歌ってくれないかと声をかけられたのがきっかけだった。当時、MIKAさんは大手総合商社の事務職、RIKAさんは大手IT企業のSEとして働いており、ヒップホップについて詳しいわけでも音楽活動に強い思いがあったわけでもなく、「楽しそう」という理由で軽い気持ちで引き受けた。いつかアイドルになりたいという気持ちが? という質問には「いや、まったく」と同じ表情で声をそろえる。
活動開始から数カ月、13年11月に1枚目のシングル「FUNKY OL〜仕事したくないよ〜」をリリース。ジャケット写真を撮影し、予算5万円でミュージックビデオ(MV)を作成し、週末を中心に小さなステージやイベントへの出演を重ねた。真面目にOLとして働くかたわら「休日の楽しい遊び」(MIKAさん)として活動していた。
風向きが変わったのはCDをリリースした後だった。「なんか、バレちゃったんですよねぇ、会社に……」(MIKAさん)。別に全然売れたわけじゃないのにね、ネットってすごいよね、とあっけらかんと2人は笑う。人事に呼び出され、「芸能活動は禁止」と釘を刺され、誓約書を書かされた。
「私はその後わりとすぐに会社を辞めました。未練はほとんどなかったですね。なんだろう、お金くらいです。お金がないと困るかな? まぁ大丈夫かな? って(笑)」(MIKAさん)「MIKAはいつもそういう感じなんですよね、後先考えないっていうか……。私は仕事もやりがいがあったし楽しかったので続けていました。プロジェクトが忙しい時は夜中まで残業してました」(RIKAさん)「そうそう、RIKAが全然帰って来ない時は『早く帰って来てよ!』ってしつこくメールしてました。真面目すぎるんだよ〜頑張りすぎ」(RIKAさん)「だから、定時で終わらない仕事もあるの!」(RIKAさん)。
MIKAさんはアイドル、タレントに専念し、RIKAさんは仕事と両立しながら週末に活動を続け、14年7月には2枚目のシングルをリリースした。
しかし、売れない。
全国に大小数百とも言われるアイドルグループがひしめく今、地道に活動しているだけではなかなか知名度は上がらない。イベント出演を増やすにも限界がある。まずは名前と顔を覚えてもらわなければ。
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