11月、いよいよ夜空は冴えはじめます。11月の流星群というと、しし座流星群がよく知られるところですが……今年は南(6日)と北(12日)、極大日が二回訪れる「おうし座流星群」にも目を向けてみませんか? 観測の心得、おうし座の一等星・アルデバラン、秋の星座の物語とともにお届けいたします。
その名を冠した流星群の元となる星座「おうし座」は、北の空では右手に、南の空では左手に見ることができます。流星群の出現期間は10月末から11月中旬です。まずは南流星群が6日、北流星群が12日(新月)と、それぞれ夜半から未明にかけて初冬の星空を翔けぬけます。
この時期の観測は、寒さ対策が一番のポイントです。流星群と言えど、目が星空に慣れなければ見逃してしまいます。肉眼で見るには短い時間ではなかなか難しいものです。10分、20分……と少しずつ目が慣れてきて、30分を過ぎたころからやっと流れ星を見つけやすくなってきます。冬の天体観測は寒さとの勝負でもありますね。
また、この流星群は熟練した観測者で1時間に5個が目安というほどです。数より質で、1つでも見つけられたらいいことがあるかも……観測の後は、ココアやミルクを入れた温かい飲み物でしっかり温まってくださいね。
北の空、おうし座の一等星「アルデバラン」は星座の下方に明るく輝きます。この星は、おうし座の中で一番下に位置し、一番明るく空を照らしています。
今年は11月26日に月がアルデバランを隠すという現象「アルデバラン食」がおこります。アルデバラン食は、九州の一部をのぞく日本全国で観測が可能と予測されていますが、潜入は関東以北のみ可能、出現は全国的に観測可能です。ただ、肉眼で見るのは難しいため、双眼鏡があると便利ですね。
11月26日だけ姿を隠す星、アルデバラン。流星群の頃には一等星の輝きが美しく見られることと思います。見られない日がある星だけに、おうし座を観測する際にはぜひ、気にしてみて下さいね。
秋の北の空にまつわるお話を、ギリシャ神話から一つ……。北の空の高い位置に見えるアンドロメダ座に、シンデレラストーリーの元祖とも言うべき物語がありました。登場人物は、王・ケフェウス、王妃・カシオペヤ、姫・アンドロメダ、勇者・ペルセウス、天馬・ペガサス、海神・ポセイドン。
ケフェウス王とカシオペヤ王妃には、アンドロメダ姫という美しい娘がありました。王妃は娘を誇りに思うあまり、「アンドロメダの美しさは、ポセイドンの孫娘たち50人にもかなわない……」と失言してしまいます。これがポセイドンの怒りを買い、怪物を差し向けられてしまいます。
ケフェウス王は国を守るため、アンドロメダ姫をいけにえにして怪物を退散させようとします。今にも、アンドロメダ姫が怪物に襲われるその瞬間、空翔けてペガサスにまたがり、勇者・ペルセウスが姫を無事救い出す――というハッピーエンドストーリーです。
いかがですか? シンデレラに代表されるハッピーエンドストーリーの元祖は天頂で繰り広げられていたと思うと、少しだけ心が温まりませんか?
晩秋もきわまる頃となりました。心も体もあたたかな夜をお過ごしください。
《参考サイト》国立天文台HP 星空情報
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