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「人生を楽しくする方法の1つがプログラミング」──17歳でドワンゴ入社のエンジニアと“現場目線”で学ぶ「プロハイハイ」(2/2 ページ)

» 2015年12月14日 12時25分 公開
[ITmedia]
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人生をもっと楽しくするために

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 目の前のプロジェクトに真剣に取り組む現場で楽しさ、面白さを知った草野さんは、従来のプログラミング教育には初心者が真剣になるための“ファーストステップ”の動機付けが薄いと感じていたという。アルゴリズムやデータ構造などを数学的、パズル的に学ぶだけでなく、「実際の現場でどう役立つかを『課題』と『解決策』のセットで体系的に学ばないと意味がない、面白くなりようがない」。

 「実際に働いてみると、『そこの角を曲がると怖い犬がいるよ』と課題を教えてくれる人はいても、『どう回り道したらいいのか』を教えてくれる人は少なかった。3年後に『あ! あの時こっちに行けばよかったのか!』と気付いても遅い」(草野さん)

 かといって、実際の現場に早くから飛び込んで、働きながら学ぼうとしても、自分のレベルに見合った課題が与えられるケースは少ない。「プロハイハイ」では「つま先立ちで、ちょっと早く走れるくらいの目標タイムを毎回提示して、足が速くなっていくイメージ」で、技術力を鍛えること自体を主眼に置かず、生徒1人1人に適切な目標を与え、必要に駆られて自然に技術力を身に付けられる環境を目指す。

 「人生を楽しくする方法っていろいろあって、その1つがプログラミングだと思うんですよ」――身近なデバイスや製品、サービスの裏側の仕組みをイメージできるようになる想像力、目の前の相手と齟齬がないように論理立てて話していくコミュニケーション能力など、プログラミングを学ぶことで得られる能力は、最終的にエンジニアとして働くわけでなくても必ず役立つ、と話す。

 「若いうちに世界を見る想像力を鍛えることで選択の幅は広がっていく、そのためにプログラミングに触れるのは有用だと思う。選択肢を多く持っている方が、見えている世界が広い方が、きっと自分の選んだ道を積極的に楽しめるはず」(草野さん)

「社会は厳しい」、でも「人は優しい」

 10月末に川上量生社長に声をかけられ、これまでぼんやりと描いてきた理想を実現できるのでは? とプロジェクトへの参加を決めた。これまで在籍してきたドワンゴやクックパッドでエンジニア向け新卒研修などで教えた経験はあるが、長期に渡り講師を務めるのは初めて。プログラミングをまったく知らない、キーボードにちゃんと触るのも初めて――という初学者を想定し、1年間のカリキュラムを構築している。

 クラス定員を30人と定めたのも「自分が責任持って1人1人をフォローできる数」を考えた結果だ。落ちこぼれ、浮きこぼれを作らず、常にそれぞれの目標を設定し、チームで、個人で、切磋琢磨しながら学ぶ場にしたいという。

 初回の授業では「クラス全員で一緒にやる最初で最後の一歩」として、生徒全員にPCを配布し“開封の儀”を行う予定という。スタートだけはそろえ、その後の歩みのスピードは各自が決める。「年齢も経験も関係なく、センス次第でいくらでも伸びるのがプログラミングの世界。今すぐでなくても卒業後でいい、何年後でもいい、技術力で生徒に負けたい。教える醍醐味は、自分を超えていく人を生み出せること」(草野さん)。

 「僕がプログラミングを通して伝えたいことは2つで、『社会は厳しい』、でも『人は優しいから結構なんとかなる』。ジャストな目標が分からなくても、どうしても解決策が見つからなくても、隣の人に聞けば5秒で解決することは世の中には案外多い。デジタルなものを学ぶのに意外に思われるかもしれないが、アナログなヒューマンパワーを注いでいくつもり」(草野さん)

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