眼鏡の産地として知られる福井県鯖江市はこのほど、ワークスタイル変革や遠隔会議の推進を目指し、デルとの協業を発表した。市内4拠点に4KディスプレイやノートPC、タブレットなど最新機器を導入し、行政と市民コミュニティーで活用していく。牧野百男市長は「ITを眼鏡、繊維、漆器に続く第4の産業に」と意気込む。
鯖江市は「データシティ鯖江」を掲げ、行政データを市民に公開するオープンデータ施策を国内自治体の先駆けとして2010年にスタート。施設情報や観光情報、バスの運行情報など、これまでに150種類以上のデータを公開し、約120種のアプリが民間で開発されている。1月には図書検索サービスのカーリルと連携し、市立図書館の蔵書位置をスマートフォンの地図上で確認できるアプリ「さばとマップ」を公開した。
プログラミング教育の義務教育化に先駆け、市内の小中学校の一部にプログラミングクラブを設立するなど、「第4の産業」としての成長を目指し、情報公開や民間連携だけでなく教育面でも力を入れる。市内に開発拠点を置くjig.jpの福野泰介社長が開発するBASICベースのミニPCキット「IchigoJam」を活用し、エンジニアリングの基礎が学べる。学校以外にも、IT×ものづくり施設「Hana道場」でのワークショップ開催など、子どもから大人までITやプログラミングに親しむ環境を整備している。
牧野市長はデルとの協業について「非常にありがたい申し出。企業や工場の誘致ではなく内発的な産業の発展を目指す上で、市民それぞれがテクノロジーに接するチャンスをさらに増やせれば」と話す。
3月末をめどにデルの機器を導入するのは、鯖江市役所と「Hana道場」、商店街の一角のコミュニティースペース「らてんぽ」、越前漆器の展示・制作施設「うるしの里会館」――の4カ所。ノートPC「Latitude E7000」シリーズや小型PC「OptiPlex 7040 Micro」、Windowsタブレット「Venue」シリーズ、4Kディスプレイなどを設置する。「インテル Unite」を使ったWeb会議などを活用し、行政と市民コミュニティーの連携、コミュニケーションを円滑・活発にする狙いだ。
今後のIT関連施策として、子育て世代に向けた支援・情報提供アプリの制作を挙げ、「日本のさまざまな場所で直面している社会問題は同じ。自治体間で横展開できるようなモデルを鯖江が中心になって作っていきたい」(牧野市長)とした。眼鏡の生産地としてのノウハウや技術力を生かし、スマートグラスなどのウェアラブル端末や医療機器などの開発も推進・協業していきたいと展望を語っている。
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