米連邦裁判所は米Appleに対し、これまでに少なくとも12台のiPhoneのロック解除を要請していたことが、Appleの弁護士がニューヨーク東部地区連邦地裁に提出した2月17日付の文書で明らかになった。
Appleが、銃乱射事件解決のためにFBIへの協力を要請する裁判所命令を拒否すると発表したことをきっかけに、個人のプライバシーと国家安全保障のバランスをめぐる議論が活発になっている。
Appleのティム・クックCEOは16日に公開したユーザー宛の書簡で、裁判所はFBIにバックドアツール(iPhoneのセキュリティ機能を解除するツール)を提供するよう命じているとし、「米連邦政府はこのツールは1台の端末でのみ使われるとしているが、これは真実ではない」と主張した。
17日付の文書によると、Appleは2015年10月8日〜2016年2月9日に12台のiOS端末について、端末内の保護データにアクセスするためのツールを作成・提供するよう要請された。Appleは10件の要請を拒否し、2件については追加資料を請求中などで保留中だ。
これらの端末がどのような事件に関連するものかはこの文書では分からないが、米Wall Street Journalによると、テロ事件には関係ないという。
FBIは21日の声明文で、テロ事件の犯人のiPhoneをロック解除することは、犠牲者と正義のためであり、先例を作る意図はないと主張した。
Appleは2014年9月にリリースしたiOS 8以降で、端末内のすべての個人データを暗号化し、パスコードを入力しなければAppleでさえデータにアクセスできないようセキュリティを強化した(文書にある端末の中にはiOS 8がサポートしない古い端末も含まれる)。
Appleは、22日に公開したこの問題に関するQ&Aページで、技術的にはFBIが要求するツールを作ることが可能だが、それを流用できないようにすることは不可能であること、Appleは過去にも同様の要請を受けたが拒否したことなどを説明している。
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