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シンセサイザーパフォーマーの始祖、キース・エマーソン死去

» 2016年03月12日 09時25分 公開
[松尾公也ITmedia]

 プログレッシブ・ロックバンドEmerson Lake & Palmer(エマーソン・レイク&パーマー、ELP)のキーボードプレーヤー、キース・エマーソンが71歳で亡くなった。

photo ELP公式サイト
photo カール・パーマー公式サイト

 シンセサイザーをライブ演奏することが考えられなかった時代(1970年頃)に大型のモジュラー型Moogシンセサイザーをステージに持ち込み、生でパッチングをしながら音色をどんどん変えていき、音程を自由に変更できるリボンコントローラーを駆使したギター以上に自由なパフォーマンスで、スタジオワークが中心だったシンセサイザーの可能性を大きく広げ、その後のMinimoogなど持ち運び可能な小型シンセサイザーへの道を開いた。

 Hammondオルガンにナイフを突き立てて音を固定したり、反対側から弾いたりといった、ジミ・ヘンドリックスのキーボード版とも言えるハッタリの効いたパフォーマンスと、クラシックの素養に裏付けられた正確な演奏技術とがあいまって、同時代のキーボードプレーヤーの中でずば抜けた存在感を持つアーティストとなり、今なお多くのミュージシャンの尊敬を集めている。モジュラーMoog、Hammond、ピアノなどに囲まれた「城」の中でプレイするスタイルは多くのキーボードプレーヤーのモデルとなった。

 ベーシスト兼ボーカリストのグレッグ・レイク、ドラマーのカール・パーマーと組んだELPは1970年にデビュー。「展覧会の絵」「タルカス」「恐怖の頭脳改革」といったロックの歴史に残る名作を70年代の前半に続けざまにリリース。当時、日本においてはアイドル並の人気を誇っていたことでも知られる。

 日本ではアニメ映画「幻魔大戦」のサウンドトラックを担当。NHK大河ドラマ「平清盛」では、「タルカス」のオーケストラ編曲版が使われた。来日公演も多く、4月には東京、大阪でのライブが予定されていた。

photo 4月にはビルボード東京でライブを行うはずだった

 5年前の東日本大震災の後、2011年3月20日には「日出ずる国へ」と題した音楽をYouTubeで公開し、被災地への寄付を呼びかけた。

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