日立製作所は4月8日、接客や案内サービス向けの人型ロボット「EMIEW3」(エミュースリー)を発表した。EMIEWは2足でありながら、歩行ではなく車輪で動くロボット。最大移動速度は時速6キロ。人と同じ速さで広範囲を動き回れる点で、ソフトバンクロボティクスの「Pepper」との差別化を図っているという。
EMIEW3は、2007年に発表した前機種・EMIEW2のIT基盤を継承しつつ、新たに外部センサーから人物を検知する「環境認識機能」や、複数台のロボット間で情報共有する機能、転倒からの起き上がり機能を加えた。
ロボットの制御システムや各種アプリケーション、データの収集・分析機能などは全てクラウド上に実装。それらと本体を組み合わせたパッケージとして企業向けに提供する。導入企業のブランドイメージに合わせたカラー展開も視野に入れているという。
取材時に驚いたのは、非常に自由度の高い対話機能だ。デモで行われているようなスムーズな対話を実際に行えるという。
複数の人から同時に話し掛けられた場合には、それぞれの声を認識。複数人がいることを認識し、1人1人に個別で対応する。
EMIEW3は5月以降に実証実験を行い、その結果を踏まえ、2018年をめどに本格発売する予定だ。価格など詳細は未定。
EMIEWシリーズの初代機「EMIEW1」が登場したのは2005年。日本国際博覧会「愛知万博」で披露された。
ちなみにEMIEW3が直立時、左右に小刻みに揺れているのは、常にバランスを取ろうとしているから。そのため、急に押したりしても倒れない。日立製作所の研究開発グループ担当者は「本当は静止しているほうがいい」と言うが、この揺れがEMIEW3の息づかいのようで愛らしく思えた。
(太田智美)
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