人間社会が一夫一妻制を取るようになったのは、性感染症の流行リスクを抑えるため?――社会規範の変化をもたらした要因に迫る研究成果をカナダ、ドイツの研究チームが発表した。
小規模な狩猟採集民社会を中心に、歴史上ほとんどの人間社会は一夫多妻制を取っており、1人の男性が複数の女性と配偶行動を取ることが許されていた。定住農業の誕生とともに大規模な社会が発生すると、それまでと対照的に社会的な制裁や罰を設けてまで一夫一妻制を課すケースが多くなる。
研究チームは、人口変化や疾患に関するデータシミュレーションにより、制度移行は性感染症の流行を受けて生じたものと結論付けている。構成員が30人以下の小規模社会では、性感染症は集団発生しても短期間で収まるものの、それ以上の大きさになると、風土病のレベルに達し、集団の出生率が低下したという。
社会が大規模化することで、性感染症が流行しやすい一夫多妻制を取るリスクは高まる。時間の経過とともに、より集団が存続する可能性が高い一夫一妻制が支配的な社会規範になった――と分析している。
論文は、4月12日に科学誌「Nature Communications」に掲載された。
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