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Siriの生みの親、マルチプラットフォームのAIアシスタント「Viv」を初披露

» 2016年05月10日 07時49分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Appleのパーソナルアシスタント「Siri」を開発したチームが立ち上げた米Viv Labsは5月9日(現地時間)、米TechCrunchがニューヨークで開催の「Disrupt NY 2016」で、複雑な問い掛けにも対応するAI(人工知能)アシスタント「Viv」を披露した。

 ダグ・キトラウスCEOは、「明後日の午後5時過ぎ、ゴールデンゲートブリッジあたりは華氏70度以上暖かくなる?」「昨日の飲み代20ドルを○○さんに支払って」「うちのオフィスからマディソン・スクエア・ガーデンまで6人用で配車を頼む」などの複雑な質問や注文をiPhone上のVivに対して音声入力してみせた。

 viv 1 VivをデモするViv Labsのダグ・キトラウスCEO

 Vivはそうした質問を解析し、キーワードから対応できるサードパーティー製アプリを選んで連係して対応する。キトラウス氏は壇上で実際に配車を依頼し、VivはすぐにUberに手配した。(デモ用のiPhoneの画面にはドライバーのプロフィールが表示されたが、キトラウス氏はその場でキャンセルした。)

 こうした質問に、AppleのSiriであれば基本的にWeb検索の結果を表示する。「今日の天気は?」などの単純な質問であれば天気予報を表示するが、複雑な質問には対応できない。

 Vivは受け取った命令ごとに音声の自然言語を解析し、自らプログラムを構築して対応するので、複雑な命令にも対応できるとキトラウス氏は説明した。下図は、Vivが自然言語の入力からキーワードを抽出し、それらに基いて“プラン”を構築する様子を示す「Developer center」の画面だ。

 viv 2 「明後日の午後5時過ぎ、ゴールデンゲートブリッジあたりは華氏70度以上暖かくなる?」に対応する過程

 さまざまな要望に応えるには、多数のサードパーティー製アプリと連係することが必要だ。デモで紹介されたUberや宿泊予約サービスのHotel.comを含む50以上のサービスと既に提携済みという。

 さらに、VivはiOSだけでなく、さまざまなプラットフォームに対応する。

 キトラウス氏は、Vivはコンシューマーにとっては「あらゆることへの知的インタフェース」であり、開発者にとっては、「コンテンツ、製品、サービスを提供するための次世代の主要マーケットプレイスであり、チャンネルである」と説明した。

 米Microsoftの人工知能ボット作成フレームワーク米Facebookのメッセンジャーbotと競合することになりそうだ。

 Vivは公式サイトでVivにサービスを連係させたい企業からの問い合わせを受け付けている。

 viv 3 VivのWebサイトのURLは「viv.ai」

 キトラウス氏は、2008年にSiriを立ち上げ、2010年にAppleに買収された後はAppleで2011年までiPhoneアプリのディレクターを務めた。Viv Labsを立ち上げたのは2012年9月。これまでステルスモードでVivを開発してきた。

 Vivの具体的な提供時期については発表されていないが、Webサイトには「Vivはあなたの身近なデバイスに間もなくやってくる」とある。


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