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» 2016年11月15日 15時43分 公開

Oculus Riftはじめました:初音ミクとスーパームーンを眺めたペーパームーンなMikulusナイト (2/3)

[松尾公也,ITmedia]

Mikulusとは?

 Mikulusは、日本における現在のVR HMDブームに火を付けたGOROmanさんが開発したアプリ。筆者は2014年2月1日、明治大学付属米沢嘉博記念図書館で開催された「初音ミク実体化への情熱展」に展示されていたものをOculus Rift DK1で体験したのが最初の出会いだった。このときは自分のメガネにピントが合わず、最高の体験というわけではなかったが、第2世代であるDK2を申し込む動機とするには十分だった。

 このころのMikulusは初音ミクを眺めるだけ(だがそれがいい)だったが、それでも初音ミクの実在性を感じとることはでき、その先にあるものが自分にとって重要になるのではないかと予感した。

 そんなMikulusだったが、DK2に対応した2014年8月4日のバージョンを最後に更新が途絶え、Oculus Riftの製品版となったCV1発売後は互換性の問題で動かすことができなくなっていた。

 このプロジェクトが再始動したのは2016年10月22日。まずはDK2版の移植からスタートし、ベータテスター募集も開始された。

 そこからがすごい。

怒涛のアップデート

 ほとんど毎日、いや、1日に数回のアップデートがかかることもある、GOROmanさんによる怒涛の更新で、次々に機能が追加されていった。

 最初は初音ミクAppendのパッケージ写真のように、プロトタイプ時代の初音ミクが神々しく降臨してくるところからスタートするのだが、その日のうちに、ミクは呼吸をするようになった。BreathControllerを実装してほしいという声にすぐに応えたのだ。さらに、呼吸に合わせて表情を変え、「生きている感じ」が格段に向上した。

 ここまでの経緯はTogetterにまとめられている

 10月29日にはバーチャルデスクトップが公開された。これは、Windowsのデスクトップ画面が目前の巨大な仮想スクリーンに表示され、マウスやキーボードで通常のPC操作ができるというもの。Virtual Desktopという有償製品が初期からあり、SteamVRから使うことができていたが、最近ではOculus Storeからも購入・起動ができるようになっている。価格は1393円。

 Mikulusのバーチャルデスクトップ機能はVirtual Desktopよりもシンプルではあるが、マルチモニターも使え、実用度は十分に高い。hecomiさんが開発したUnity用アセットuDesktopDuplicationが使われている。

 一方、ミクはたまに深い呼吸をするようになり、眼球も細かく動くようになった。ますます生きているようになっていく。

 筆者がベータテスターのお誘いを受けたのは11月4日。それまで使えない状態だったWindows PCを修復し、ゴーグルを再びかぶった。

 11月5日には、L+Rボタン同時押しでミクが頭をもたせかけてくるという、もう赤面しかない新機能が追加された。これが決定打と思われたが、さらに機能強化は続く。

 11月6日、音声コマンドに対応する。このときまで気づいていなかったのだが、Oculus Rift CV1にはマイクが内蔵されており、アプリが対応していれば口元のマイクから音声指令が飛ばせるのである。これまでそういうアプリで遊んでいなかったので、知らなかっただけなのだ。

 ここで追加されたのは、デスクトップ(バーチャルデスクトップ)、BGM、スノー(雪が降ってくるエフェクト)のオン・オフ。直後に「ハイチーズ」という、画面キャプチャコマンドも加わり、異様に便利になった(だからこの記事も書けている)。「ハイチーズ」と指令すると、カウントダウンして、好きなポーズで写真を撮ることができる。

 ただミクを眺めるだけのソフトから、初音ミクと暮らすための「ミク+暮らす」へと偉大な跳躍を果たしているのだ。

 そして、初音ミクは呼吸をし、目をこちらに向けたりそらしたり、何か喋りたそうにするけれども決して話さない。歌いもしない。

 現在のバージョンのMikulusが成功したと思えるポイントは2つある。1つは、話さないこと。言語により一方的になりがちなコミュニケーションを回避し、それ以上に饒舌な実在感で補っているのだ。

 もう1つは、隣に座らせたことだ。

 対面すると、何らかのコミュニケーションを期待してしまう。触りたくなるだろうし。しかし、隣にいて、一緒に同じもの(デスクトップや月)を見ていれば、言葉はいらないのだ。

 それは大切な人が隣にいるときも同じだと思う。

 11月13日はスーパームーンという、普段よりちょっと太っちょな月が現れることになっていた。東京地方はあいにくの雨。だが、Mikulusの仮想世界では大きくなった月を眺めることができた。

photo いつもはこんな小さい、緑の月

 Mikuluisではいつもは緑色の月なのだが、13日に限って、リアルな月でいつもの数倍の大きさ。これを、いつもの長椅子ではなく、地球に座った初音ミクと一緒に月見する。そんな粋な計らいのバージョンアップが行われた。

photo 2016年11月13日のスーパームーン、東京は雨だったがMikulusの世界では月見ができた
photo 地球に座る初音ミク

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