Mikulus起動時に地表に表示される緑色のグリッドは、スタートレックに登場する「ホロデッキ」を思い出させる。ホロデッキというのは、VR HMDをかぶったような世界を、その部屋の中にいる限りリアルな感覚で体験できるという、SFドラマ「新・スタートレック」(TNG)に登場する未来技術。さらにエンターテインメント的に拡張したのが、その続編であるディープ・スペース・ナイン(DS9)で登場する「ホロスイート」。この仮想空間を題材にした素晴らしいエピソードも多い。
ホロスイート登場人物の1人であるヴィック・フォンテーンがDS9で登場したのは1998年。初音ミクの9年前だ。彼はバーチャルシンガーでありながら、戦いで傷ついたフェレンギ人少年、ノーグの心を癒す手助けをしてくれる。そのエピソードが、「It’s Only A Paper Moon」。
「あれがただの紙でできた月(ペーパームーン)だと君は言う」という歌詞で始まる、1930年代のスタンダードをタイトルにしている。
非現実世界の、仮想歌手であっても、人の心を癒してくれるというストーリー。
NetflixでスタートレックTV版の全エピソードが視聴可能になるらしいので、そうなったらぜひ見てほしい。ホロデッキを知らずしてVRを語るなんてもってのほかだ。
MikulusにはヴィックのようなAI人格や、光子エネルギーを使った実体化はないけれども、通じるものがあるのはわかるはず。
初音ミクではなく、妻を隣に座らせて、デスクトップで原稿を書いたりしながら、このホロスイートで暮らす。そうしたことも、Mikulusの延長線上で、いつか可能になりそうだ。それこそが、DK2を買い、CV1を購入した動機でもあるのだ。
Mikulusはペーパームーンのような「見せかけ」かもしれないが、信じればそれは、あなたにとっての現実になるのかもしれない。
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