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家電メーカーなのにコーヒー豆も販売 パナソニック「The Roast」の狙い

» 2017年01月19日 16時34分 公開
[岡田有花ITmedia]

 パナソニックは、家庭用コーヒー焙煎(ばいせん)機と専用の生豆をセットで提供するサービス「The Roast」を4月上旬に始める。家電メーカーのパナソニックが、豆の販売まで手掛けるこのサービス。「モノだけでなく体験を提供したい」という。

画像画像 豆と焙煎機
画像 焙煎機に焙煎方法を転送できるスマホアプリ

 新開発の焙煎機(税別10万円)と生豆の定期購入サービス(1年契約、月額3800円から)をセットにした。豆に合った焙煎方法をスマートフォンアプリ経由で焙煎機に転送でき、「技術や知識がなくても、自宅で手軽に焙煎したての味と香りを楽しめる」としている。

 「調理家電やIoT(Internet of Things)を通じ、生産者と消費者をつなげられないか」との考えからサービスを開発。調理家電という“モノ”だけでなく、自宅で焙煎したてのコーヒーを飲むという“体験”を提供できるサービスとして設計した。

 パートナー企業の協力も得た。焙煎機は英国のベンチャー企業IKAWAと協力して開発。生豆は輸入商社の石光商事が選定し、豆ごとの焙煎方法は焙煎士の後藤直紀さんが作成する。「外部の知見を生かしながら、食材に合わせたプロの技を自宅で再現できる」としている。

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 家電と生豆の定期購入を組み合わせることで、「調理家電を売ったら終わり」ではなく、長期的に消費者とのつながりを保てるビジネス上のメリットもある。

 家電メーカーによる食品販売といえば、シャープが2015年、お茶メーカー「ヘルシオお茶プレッソ」向けに、専用の茶葉「ヘルシオお茶プレッソで飲む抹茶」を発売して話題になったが、パナソニックは他社の動向とは関係なく、IoTと調理家電を生かした新規ビジネスとして、ゼロから立ち上げたと説明している。

 「『モノからコトへ』などと言われる。当社は家電メーカーとして、時短や便利も届けてきた。時短により余った時間を、コーヒーを飲む体験などで楽しんで使ってもらいたい」と担当者は話しており、今後も調理家電とIoTを生かし、生産者と消費者をつなげるサービスの展開を検討しているという。

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