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宇多田ヒカルさん「無料で使ってほしい」 「JASRACが音楽教室から著作権料」に意見続々

» 2017年02月06日 11時16分 公開
[岡田有花ITmedia]

 日本音楽著作権協会(JASRAC)が、楽器の演奏を教える大手音楽教室から著作権料を徴収する方向で検討していることについて、著作権料の分配を受ける作詞・作曲者側からも反対意見が出ている。作詞家の及川眠子(ねこ)さんが3日、Twitterに反対意見を投稿したほか、宇多田ヒカルさんも4日、Twitterで反対を述べた。

 JASRAC外部理事で東京大学教授の玉井克哉さんはTwitterで、JASRACの立場について説明した上で、「創作者にはさまざまな考えがあり、宇多田さんのような考え方は少数」と述べている。

 JASRACは、「ヤマハ音楽教室」など楽器の演奏を教える大手の教室について「公衆に演奏の場を提供している」と判断し、著作権料を徴収する方針だが、音楽教室側は反発。ヤマハ音楽教室を運営するヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所などは3日、JASRACの方針に反対する「音楽教育を守る会」を結成した

 作詞・作曲家側からも反対の意見が出ている。「残酷な天使のテーゼ」などの作詞で知られ、JASRAC正会員でもある及川眠子さんは、「音楽教室で『練習のために』弾いたり歌ったりするものから、使用料をもらいたいと思ったことなどない」などとツイート。宇多田ヒカルさんは4日「もし学校の授業で私の曲を使いたいっていう先生や生徒がいたら、著作権料なんか気にしないで無料で使って欲しいな」と投稿した。

 今回、JASRACが徴収対象として検討しているのは、営利で運営されている音楽教室での楽曲演奏だ。学校の授業での演奏については、もともと著作権料は発生せず、宇多田さんは勘違いしている可能性がある。宇多田さんの楽曲では、「花束を君に」などの管理がJASRACに委託されている。

 著作権に詳しい弁護士の福井健策さんは、JASRAC管理楽曲について「原則として本人の意向に関わらずJASRACが権利行使を行う」と指摘。ただ、「著作者サイドからそうした声が大きくなればJASRACの方針にも影響大だろう」とも。JASRACが権利者に代わって著作権使用料を徴収している以上、運用には権利者の意見が反映されることになる。

 JASRAC理事で弁護士の玉井克哉さんは、TwitterでJASRACの立場や考え方を説明している。音楽教室からの著作権料徴収の交渉は「十年以上前」から行ってきており、「(音楽教室の)『指導そのもの』が、他人の創作を用いた営利事業。得た利益のごくごく一部を創作者に払うのは、当然ではないか」と指摘。宇多田さんなどアーティスト側から「徴収は不要」という声が出ていることについては、「創作者にはさまざまな考えがあり、宇多田さんのような考え方は少数」と述べている

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