店舗レイアウトは日本のアニメイトに近いが、タイならではの違いもある。日本語とタイ語両方の書籍・漫画をそろえるほか、グッズはジャンルごと、作品ごととさまざまな切り口で陳列するなど、見せ方を工夫したという。「日本と同様に本物の作品に接することができる店舗を意識した」(國枝社長)。
店内外には、サイン会やライブを開催できるスペースを常設。16年には30回のイベントを実施し、最大規模のものだと2日間で約1万5000人を動員したという。
こうした取り組みは、出資社側からも好評だ。
講談社の峰岸延也取締役(兼JMA取締役)は「日本のアニメイトのような本の並べ方、グッズを購入してもらう陳列の流れは、海外ではまだまだ知られていない」と話す。タイには、同社の店舗以外にも日本の漫画・グッズを扱う店はあるが、アニメイト的な陳列方法が「売れる理由」につながっているという。
「ファンが本物に触れる機会を作り、現地を温めていくことが重要。20〜30年前の日本のオタクを見たような気分になった」(峰岸取締役)
KADOKAWAの塚本進取締役(兼JMA取締役)は「海外展開を1社でやることには限界がある。特に海賊版撲滅やプロモーションは難しかった」と、5社が手を組む意義を強調する。
タイでは昨年11月に映画「君の名は。」が公開され、バンコク店舗では1カ月超で同作の小説版・漫画版(KADOKAWAが出版)が各1000冊以上売れたという。「ちょうど映画公開のタイミングだったので売り上げにつながった。日本の書店ノウハウが生きていると思う」(塚本取締役)。
同社は今後も「本物に触れる機会」を増やす考えだ。まず、3月1日には東京タワー(東京都港区)内に「アニメイトJMA 東京タワー」をオープン。バンコク店舗と同様、漫画やアニメグッズを取りそろえ、訪日外国人客の需要を見込む。
「アジアや欧米への展開も順次検討し、出店先をリサーチしている段階。海外ファンのタッチポイントを増やしていきたい」(國枝社長)
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