ITmedia NEWS > ネットの話題 >

「あまりにかわいそうなので……」 「てるみくらぶ」内定者を選考なしで採用 JALFの思い

» 2017年03月29日 13時40分 公開
[岡田有花ITmedia]

 「その身柄、JALFが引き受けます」――倒産した旅行会社「てるみくらぶ」の内定者を選考なしで採用するという団体が現れた。宿泊施設のマーケティング支援などを行っている財団法人・宿泊施設活性化機構(JALF)だ。入社直前に内定を取り消された卒業生が「あまりにかわいそう」と思い、社会貢献の一環として受け入れることにしたという。Facebookのダイレクトメッセージ(DM)で3月31日まで申し込みを受け付ける。

画像 JALF公式サイトより

 「てるみくらぶ」に限らず、4月の入社を目前にして内定取り消しの憂き目にあった卒業生が対象。無選考でいったん全員に正社員として内定を出し、JALFで働いてもらう。次の就職先が決まるまで一時的に働いてもらうほか、優秀な場合はJALFで永続的に働いてほしいという。採用予算は、会員企業から追加出資をあおぐなどで確保できるという。

画像 雇用条件は通常の採用に準じるという

 「てるみくらぶ」は3月27日に東京地裁から破産開始決定を受けた。2017年4月入社予定の内定者約50人は、内定が取り消されたと伝えられている。JALF事務局長の伊藤泰斗さんは、入社直前に内定が取り消された卒業生が「あまりにかわいそう」と思い、内定者の受け入れを決めたという。

 「中には既に地方から東京に引っ越し、家賃が払えなくなると心配している内定者もいると聞き、あまりにかわいそうだ。JALFは公益目的の法人であり、熊本地震の被災者に宿を提供するなどの社会貢献を行ってきた。今回も、困っている方のお役に立てればと考えている」(伊藤さん)

 29日午後7時時点でまだ申し込みはないが、問い合わせは多数来ているという。申し込みは数人程度を想定。JALFはスタッフ約10人の小さな組織のためあまり多数は受け入れきれないが、多くの申し込みがあれば、人手不足に悩む会員企業のホテルなどに出向として引き受けてもらうことを検討する。「JALFは業界団体なので、業界企業とのネットワーク力が強み。宿泊業は就職先として不人気で、人手不足に悩んでいる。出向受け入れは可能と考ている」。

画像 Facebookページより

29日午後7時

雇用条件などを記事に追記しました。初出時、取材に基づき「1人から申し込みがあった」と記載していましたが、再度取材したところ「まだ申し込みはない」とのことで、記載を修正しました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.