1人の食事でも、鏡の前で食べるとおいしく感じる――そんな実験成果を、名古屋大学がこのほど発表した。食事中に人の存在を感じるだけで「おいしさ」が高まる可能性があり、孤食になりがちな高齢者の食生活改善につなげる考え。
研究チームは(1)上半身が映る縦長の鏡を置いた場合、(2)ほぼ同じ大きさのモニターに壁を映した場合で、味の評価が変わるかを検証した。それぞれの場合で、65歳以上の高齢者と大学生(各16人)に、キャラメル味と塩味のポップコーンを好きなだけ食べてもらった。
食後、被験者に「おいしさ」を6段階で評価してもらったところ、年齢や味に関係なく、モニターの前より鏡の前で食べた場合が評価値が高かった。ポップコーンの消費量も、モニターを置いた場合と比べると、鏡の前で食べた場合が多かったという。
鏡の代わりに、自分が食べている姿(静止画)をモニターに映した場合でも、壁を映した場合より「おいしい」という評価、消費量が増えた。この結果から、誰かと同じ動きをすることが要因ではないと分かったとしている。
研究チームは「鏡を用いることで幅広い年齢層の食事の質を高める可能性がある」と指摘。今後は、味気がない食品でも同様の効果が得られるかなど、病室での効果も検討するという。
研究成果は、米科学誌「Physiology and Behavior」に5月26日付(日本時間)で掲載された。
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