日本におけるマストドンの動きについてはこの連載を通じ、ほぼ漏れなく記事にしているつもりなのだが、日本以外、特に英語圏の動きはどうなのか。4月以降、マストドンは受け入れられたのか受け入れられなかったのか、キーとなる4本の英文記事を追うことでまとめてみた。
米国のテック系メディアで4月以降、マストドンを最初に報じたのがMashable。4月4日公開の記事で、英語圏における遠藤砲に相当するのがおそらくこれ。この後、PC Magazine、The Vergeなどが続く。
ライターのジャック・モースさんはFacebookをはじめとするSNS系記事を書いている人で、18日には別の記事「In the rapidly expanding Mastodon fediverse, there's an instance for everyone」を書いてる。変わったインスタンスの紹介記事で、おならをしたら報告するインスタンスとかもある。ぷう。
その後はメディアからの発信は一段落し、マストドンブームは消えたかに思われた。代わりにマストドンの化石によって北米の歴史が変わるという記事が多くのメディアに掲載。5月22日に、The Vergeが再びマストドンを取り上げるまでの約1カ月、分散型SNSのマストドンは米国メディアから消えた。
5月以降に書かれた米テックメディアでのマストドン(SNS)記事はこれだけ。4月初め、マストドンは「15 minutes of fame」を得た、とアンディー・ウォーホールの引用で始まるこの記事はフラッグシップとなるインスタンス、Mastodon.socialに注目していて、その登録が再開したというのを大きな話題にしている。「連合」の仕組みによってさまざまなインスタンスがゆるく繋がっているということを説明してはいるものの、その進展にはあまり注目していない書き方。一応、Pawooが15万人というのは書かれているが、一部の英語圏の動きしか見ていないらしい。
多様な世界であるにも関わらず、アメリカ西海岸の人々は、まるで自分が世界の王になったかのように振る舞う。それしか世界にルールはなく、地球の裏側に全く別の文化と習慣を持った人間がいることを想像することさえしない。
「Mastodon革命」とは──クラウドの牢獄から自由を取り戻せ : 情熱のミームでUEIの清水亮さんが語ったことは、メディアについても言えるのではないだろうか。
それに対し、次の個人ブログの記事はとてもよい。「日本侵攻」以降のマストドン動向を細部までカバーしている。
このブログは、コペンハーゲン大学のポスドクであるマシュー・スカラ(Matthew Skala)さんが書いたもの。欧米と日本の文化衝突についても詳しくまとめてくれている。日本の文化背景を十分に分かっているスカラさんはロリコンと児童ポルノの違いを説明し、その上で4月12日のmstdn.jpスタートから起きた「日本侵攻」から4月末までの日欧の動きを丹念に追っている。日本でもここまでちゃんとまとめた記録は存在しない。密度の濃さは第1級だ。
もう1本、ブログ記事を紹介する。4月のマストドンブームを扱った14本の記事をまとめたものだ。英語だけでなく、オランダ、フランスなど非英語圏の情報も含む。上のスカラさんの記事もここで、pixiv Nightのレポート記事(ログミー)の背景解説として紹介されているので知った。欧州の多様性と、そこにマストドンが受け入れられている様子がわかる。
そして、マストドンにとっての4月をEternal April、永遠の四月と表現しているのが実に詩的だ。
最後に1本、マストドンについて解説したビデオを紹介しよう。
アニメーション入りでとてもわかりやすくマストドンの仕組みを解説している、6分14秒のYouTube動画だ。
「マストドンはどんな鳴き声がすると思う?」と息子と娘に聞いて、そのリアクションでこのビデオが終わる。
ちょっとこれ、かわいすぎだろう。反則。
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