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「不動産屋のあり方変わる」――VRでお部屋探し「どこでもストア」登場 3分で内見

» 2017年06月30日 14時42分 公開
[片渕陽平ITmedia]
photo どこでもストア

 実際の物件に行かなくても、VR(仮想現実)映像で内見できる不動産案内所「どこでもストア」が6月30日、イオン品川シーサイド店(東京都品川区)に登場した。案内所はほぼ無人だが、遠隔地にいる営業スタッフと通話でき、VR映像を体験しながら物件の案内をしてもらえる。1件の内見が3分程度で終わる手軽さが売りだ。同店舗だけでなく、2017年度内に首都圏の商業施設など25カ所に設置を予定している。

 ユーザーが「どこでもストア」のブース内に着席すると、ブースに備え付けられたディスプレイに十数件のサンプル物件を表示。ユーザーが好みの物件を選ぶと、近くの不動産会社の実店舗にいるスタッフと電話がつながる。スタッフは、ユーザーが選んだサンプル物件から好みを判断し、住みたい場所、家賃などの要望を踏まえ、候補物件をピックアップ。このタイミングでユーザーがVR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着し、候補物件を360度写真で内見できる。

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 30日現在でスタッフが案内可能なのは、イオンモールが運営する「イオンハウジング」の賃貸物件数万件、大京穴吹不動産の賃貸・売買物件数十件。三菱地所レジデンスラウンジの新築物件売買の相談窓口にもつながる。物件数は順次拡大するという。

 どこでもストアは基本的に無人だが、定期的にスタッフが巡回し、VR HMDの衛生管理をしたり、ユーザーに操作方法を案内したりする。

 同サービスの運営は、イオンハウジングのフランチャイズ展開をしているフォーメンバーズ(東京都中央区)が担当。システム開発は、VR関連サービスを手掛けるナーブ(千代田区)が協力した。

「不動産店舗の在り方が変わる」

 「不動産業界の店舗の在り方が変わる」――フォーメンバーズの矢野晃教社長は、どこでもストアにそう期待する。

 ユーザーが物件を探すとなると、まずネット上の物件情報、写真を参考に“当たり”を付け、実際に不動産会社の店舗に出向き、内見するのが一般的だ。しかし「ネット上の写真と実際の内見とではギャップがあり、1日中かかって10件近く見て回る人もいる」と矢野社長は指摘する。

 「VR映像はそのギャップを埋める」という。VR映像を見て、間取りのデータや写真からは読み取りにくい部屋のイメージを体験し、リアルで内見する物件を絞り込むことで、効率よく案内する考えだ。イオンモールへの設置に先駆け、フォーメンバーズの実店舗がVR映像を試験導入したところ、ユーザーがリアルで内見した物件数は「1回当たり約5件から約1〜3件程度に減った」という。

 「1日かかるはずの内見が3〜4時間で済む。忙しくて物件選びに時間が掛けられないユーザーも利用しやすくなるし、店舗スタッフの営業効率も上がる。全ての課題を解決する夢のような装置ではないか」(矢野社長)

photo 左から、ナーブの多田英起CEO、フォーメンバーズ親会社のギガプライズの梁瀬泰孝社長、フォーメンバーズの矢野晃教社長

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