佐藤さんは、本業の医師業の傍ら、企画や講義動画の提供などを担当。サイト構築やマーケティングなどビジネス面は、オーシャナイズがサポートする。オーシャナイズは、コピー紙裏面を広告スペースにすることで無料でコピーできる大学生向けサービス「タダコピ」などを展開する大学発ベンチャーだ。
オーシャナイズは大学生向けの事業のほか、通信制高校向けタブレットシステムや、小学生〜大学生向けのリアルイベントなども展開。各サービスのユーザーにMANAVIEを訴求していくほか、「課外授業」に大学生のインタビュー動画を提供するなど、学生とのつながりをコンテンツ面にも生かす。
MANAVIEの収益は、広告から得る計画。大学から依頼を受けてPR動画を制作し、「課外授業」で配信するなどの形や、MANAVIEの講師や学生が参加するリアルイベントを行い、企業スポンサーを募るといった形も検討する。
短期的な収益化は必須ではないという。MANAVIEは、大学生向けが中心だった同社の事業を小学生〜高校生に広げる上で核となるサービスの1つと位置づけており、長期的に育てていきたいと、同社の段原亮治さんは話す。
旧manaveeが誕生した2010年とは違い、ネットには無料〜低価格で高品質な授業動画があふれている。manaveeが目指した「教育格差の解消」はネット上では既に実現したようにも見え、新MANAVIEにどれほどニーズがあるかは未知数だ。
佐藤さんは「教育格差は確かになくなったが、IT格差が問題だ」と指摘する。「ネット検索して良いコンテンツを見つけられる人には、MANAVIEは不要かもしれないが、見つけらない人もいる。いいコンテンツにリーチする方法が分からなければ、とりあえずMANAVIEに来れば何とかなる、と伝えたい」
「スタディサプリ」「TRY IT」などのサービスや、受験予備校などを既に利用している人にも、MANAVIEを「組み合わせて使ってほしい」という。「他のサービスでも、特定の教科の講師が苦手だったり、講義内容が分からないこともあるだろう。そういう時、補完的にMANAVIEを見てもらえれば」。
佐藤さんは、「このままでは、日本の教育が米国に支配されてしまう」と危機感を抱いているという。Webプラットフォームは、GoogleやFacebook、Amazonなど米国企業の寡占状態だ。教育の分野では、無料の学習動画を提供する米国のNPO「Khan Academy」が日本語化を進めている。
「このままでは教育もアメリカに取られてしまう。日本は、塾講師など個別のコンテンツホルダーが粒ぞろいだ。うまく交通整理すれば、日本の社会環境にフィットした教育サービスが作れる。無料を前提にした、次世代型の教育のあり方を作りたい」と佐藤さんは話している。
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