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日本郵便、ドローン配送など実現へ “配送アイデア”募集

» 2017年09月04日 17時15分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 日本郵便とサムライインキュベート(東京都品川区)は9月4日、ドローンによる郵便物配送などの実現に向け、外部スタートアップ企業からアイデアを募るプロジェクトを始めた。協力スタートアップに対し、日本郵便側が実証実験の場や資金を提供し、配送業務の効率化を目指す。日本郵便にとっては初の試みという。

photo 日本郵便のドローン

 プロジェクト名は「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」。社内外を問わず、技術やアイデアを募るオープンイノベーションプログラムだ。ドローンやロボット技術、AI(人工知能)技術、IoT(Internet of Things)技術などを生かし、配送業務を効率化したり、新しい配送サービスを考案したりする企業を募集する考え。

 協力スタートアップには、日本郵便が保有する1日約3000万カ所への郵便配送網、約14万台の車両、約18万本のポスト、約2万4000カ所の郵便局などのデータを開示。郵便局やドローン実証実験場など、技術検証の場を提供するほか、テストマーケティング費用の拠出も検討する。サムライインキュベートも450万円の出資を検討し、業界関係者による助言の機会(メンタリング)を提供する。

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 協力企業の募集は、9月4日〜10月4日まで専用Webサイトで行う。面接などを経て、10月下旬までに採択企業を決める。迅速なサービス実用化を目指し、採択企業は3社ほどに絞るという。

 近年、ネットショッピングの普及に伴い、宅配便の取り扱い個数が急増し、配送員の負担が増えるなど社会問題化している。こうした課題を受け、日本郵便は2016年からドローンの実証実験に取り組んでいる。山間部や離島などで、郵便局と郵便局との間の郵便物の輸送にドローンを活用するといった場面を想定し、気象条件の影響や輸送可能な重量などを検証してきたという。

 今回のプロジェクトでは、外部からもアイデアを募り、こうした課題の解決を加速させる狙い。既存の物流システムにとらわれない、新しいサービスの創出にも期待する。

 日本郵便の福田聖輝副社長は「郵便局内は自動化も進んでいるが、配送の部分はいまだに人手に頼るところが多い」と話す。「ポストや車両などは、われわれからすると“単に郵便を運ぶためのもの”に見えるが、外部から違う見え方があると提案があれば、真摯に受け止めたい」

 サムライインキュベートの榊原健太郎CEOは「郵便という、日本に根付いている規模感のあるサービスを利用する良い機会。スタートアップ企業はこの機会を見逃すことなく、一緒にビジネスを変えていければ」と期待を寄せた。

photo 左から、日本郵便の福田聖輝副社長、サムライインキュベートの榊原健太郎CEO

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