12〜13年ごろ、スマートフォンが本格的に台頭し始めると、グリーやモバゲーのソシャゲもスマホ対応が必要になった。
10年には、米Appleのスティーブ・ジョブズCEO(当時)が「Flashはクローズドでセキュリティ上の問題も多い」と批判し、iPhoneでの採用をやめるなどしていたが、そんな状況下でも代替手段はあった。Flash Liteをjavascriptに変換し、スマホ上で再生できるようにする「ExGame」というツールだ。
「Flashは終わりだ」――Flashを使ってWebサイトを制作する業界ではそんな声もあった。だが、ExGameのようなツールが存在し、ソシャゲ業界に“べったり”だったTANAKA Uさんは、ほぼ影響はなかった。需要は健在だった。
以後、ソシャゲ業界のFlash需要は徐々に減っていったが、いまでもFlashを使う場面はある。キャラの動き、アイテム獲得演出などを検討するとき、Flashでプロトタイプを作る。試作段階では、開発中のゲーム上でリトライを繰り返すより、比較的編集しやすいFlashを使い、修正しながら検討するのが効率がいい。場合によっては、変換ツールを使ってアプリにそのまま実装することもある。
一方、96年に「Macromedia Flash」として登場したFlash制作ツールは、すでにFlash以外の形式でも出力が可能に。15年には「Adobe Animate」と、Flashを冠しない名前に変わった。
だからツール自体はいつまでも使える。“Flash”が稼ぎ頭であることは「今も昔も変わらない」。
ただ、すでにFlashで制作・公開した艦砲射撃、マテスナなどFlashゲームは、このままだと遊べなくなる。exeファイルでデータを配布し、ユーザーがローカルPCで遊べるようにしようか、それとも――TANAKA Uさんは思案する。
「マテスナ、更新しないの?」――10年近くたった今も、ユーザーからはそんな要望が届く。実は、未完成ステージ案も、未実装キャラの設定資料も手元にはある。クラウドファンディングで資金を集め、リメーク作「マテリアルスナイパー2」としてリリースする計画も検討している。
制作したFlashゲームの潮流は、プラットフォームを変え、いまも受け継がれている。
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