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「クラウドファンディングで日本一に」──社員わずか20人、和歌山発・乗り物ベンチャーの挑戦新連載・冴えるクラウドファンディングの育てかた(2/2 ページ)

» 2017年09月18日 08時00分 公開
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 ボクの会社は当時、社員が10人の小さい会社だったので(今でも20人程度ですが……)、チャレンジするのはいいけど、下手したらつぶれてしまう危険性もあったわけです。社員はたった10人かもしれないけど、その社員には家があって家族がいて、守るべきモノはたくさんあります。ボクは独り身で身軽だからいいけど、だからといってボクの賭けに付き合ってもらうことはできません。

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 エゴではなく、本当に世の中に必要とされているモノを作らなければ、と、ここは久々のド真剣モードで考えました(あ、仕事はいつも真剣ですよ)。

 「『これがいい、これしかない』と思っているのは自分だけでしたー、ちゃんちゃん」なんてことにならないように「どういうモノだったら、みんな乗りたいと思ってくれるかなぁ」ということを第一に考えたわけです。

 その結果、日本人の生活シーンには「人力と電動のハイブリッド」がベストであるという答えに行き着きました。でも、本当にそうなのでしょうか?

クラウドファンディングという選択

 その答えを導き出すには、クラウドファンディングを使うべきではないかと思い付きました。仕組みについては以前からよく知っていました。地元のお祭りやライブイベントの集客で個人的に何度か利用したことがあったので、その経験からひらめいたのです。「テストマーケティングに最適な方法じゃないか、コレ」と。

 クラウドファンディングは、その内容に「いいね!」と思った人たちが内容に賛同して寄付するという仕組みなので、ボクたちの電動バイクが「いいねと言ってもらえる=受け入れられている」ということになるのではないかと。そもそも、Web上で詳しく紹介したものにいいねと言ってもらえなかったら、普通に店頭販売をしたところで、売れっこないと考えました。

 「このテストマーケティングにかけてみよう!」と、ボクはクラウドファンディングを使った方法を思い付いてから1年かけて企画を練りに練りました。目標はシンプルでストレートです。

 見た人に、いかに「いいね!」と言ってもらえるか、だけですから。

 とにかくこの1年の間は、自分でもたくさん考えましたが、いろいろな方から意見を伺うこともしました。もちろん自動車業界、バイク業界の関係者からもです。

 しかし、気持ちのいいくらいみんなが口をそろえて「電動バイクなんて、日本でうまくいくわけがない」と言うのです。理由を聞けば、声をそろえて「うまくいった前例がないから」と。

 ボクは変態なのでしょうか。このダメ出しが、すごくうれしかったのです。だってダメな理由が「前例がない」だけだったら。「前例を作れば成功する」ということになりませんか。これほどやりやすいことはない、この企画は「100%行ける」と確信しました。

 そして、突入したのです、クラウドファンディングの挑戦に。

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著者:鳴海禎造(なるみ ていぞう)

glafit 代表取締役、FINE TRADING JAPAN 代表取締役、和歌山電力 取締役。

1980年、和歌山市生まれ。15歳のときから商売を始める。

2003年カーショップ「RMガレージ」を個人創業。2007年には自動車輸出入業「FINE TRADING JAPAN」を個人創業し、翌年に法人化。2011年には中国広東省、2012年には香港に現地法人を設立した。

2012年、日本を代表する次世代乗り物メーカーとなることを見据えてブランド 「glafit」を立ち上げ。2017年にglafit初の電動バイクを発表。9月にはglafitブランドを株式会社化した。

2015年には、和歌山県初の新電力事業者(PPS)となる和歌山電力の立ち上げに協力し、取締役に就任した。電力の地産地消の仕組みを整備し、和歌山の活性化を目指して日々事業を進めている。

常にベンチャー精神を忘れず、積極的に新しい事に挑戦していきたいと考えている。


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