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グリーのゲーム開発子会社、収支トントンも責任重大「NOKIZAL」決算ピックアップ

» 2017年09月22日 11時43分 公開
[NOKIZALITmedia]

(編集部注)本記事は、執筆時に公開されていた決算公告に基づいたものです。

 グリー子会社でゲームを開発するWright Flyer StudiosとEpic Voyage(東京都港区)が9月21日、官報に決算公告(16年7月〜17年6月)を掲載した。いずれも収支は“トントン”に近い状況だ。

 Wright Flyer Studiosの当期純損失は36万円の赤字(昨年同期は30万円の赤字)、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は155万円の赤字(昨年同期は118万円の赤字)だった。Epic Voyageの当期純損失は16万円の赤字(昨年同期は22万円の赤字)、利益剰余金は115万円の赤字(昨年同期は98万円の赤字)だった。

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 Wright Flyer Studiosは14年設立。スマートフォンゲーム「消滅都市」や「アナザーエデン」「ダンまち」などを開発している。代表取締役の荒木英士氏は、グリーの育成シミュレーションゲーム「踊り子 クリノッペ」の生みの親でもある。

 Epic Voyageは16年設立。グリーLINEの合弁会社で、グリーのアプリ開発力とLINEのユーザー基盤を生かした事業展開を目指す

 Epic Voyageは16年9月、企画第1弾としてWright Flyer Studiosが開発した「追憶の青」をリリース。イラストは「ファイナルファンタジー」シリーズの天野喜孝氏、音楽は「伝説のオウガバトル」の岩田匡冶氏、シナリオは「テイルズ オブ」シリーズの田中豪氏、松本弘毅氏がそれぞれ担当。キャストには松岡禎丞さん、佐倉綾音さんなど人気声優を起用し、事前登録は70万人を超えていたが、公開から約9カ月後の17年6月にサービス提供を終了した。

photo 「追憶の青」は17年6月にサービス終了(公式サイトより)

ここがポイント

 両社ともグリーのいわゆる戦略子会社的な立ち位置なので、決算自体にさほど大きな意味はなさそうです。ただ、今や商用映画1本を撮るのと同じレベルの予算が動き、かつ強力な競合がひしめくようになったスマホゲーム業界。開発と運用にはかなりのクオリティーが求められます。

 「追憶の青」のように豪華布陣を起用、大量の広告投入を行っても、必ずしもヒットするとは限りません。外した場合は、数億円〜数十億円の投資が吹き飛ぶことになります。12年ごろの絶頂期以後、スマホ対応に乗り遅れて減収減益を続けてきたグリーが本当に復活できるのか、開発を担当する2社の役割は大きそうです。

Wright Flyer Studioの過去業績、他の企業情報は「NOKIZAL」で確認できます

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《著者紹介》

平野健児。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し「NOKIZAL」を運営中。

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