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職場コミュニケーション不足は「数千万円の損」? 米IT企業が取り組む“意識改革”シリコンバレー流「早く帰るIT」(3/3 ページ)

» 2017年10月11日 07時00分 公開
[近藤誠ITmedia]
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 同社は2014年のサティア・ナデラCEO就任後、「One Microsoft」 (1つのMicrosoft) の旗印のもと、従業員同士のコラボレーションのインパクトをしっかりと人事評価に反映させています(参考:Business Insiderの記事)。 例えば、個人の成果の多寡だけでなく、他者の成功への貢献度や他者のスキルや知見の活用を評価軸にする――といった具合です。

 マネジャーは、部下のコラボレーションの度合いを評価するために、彼らと共に働いた別部門の同じプロジェクトメンバーに仕事ぶりをレビューしてもらうなど、フィードバックの迅速化・多角化を行います(参考:Fortuneの記事)。こうして、1人だけの成果にとどまらないコラボレーションの価値を人事評価に反映させているのです。

 コラボレーションを重視する企業風土だからこそ、同社はチームやプロジェクトの目的に応じ、他社のコラボレーション製品も積極的に試用しているそうです。それが結果的に、自社ツールの改善点や新機能アイデアの共有と実現につながっているのでしょう。

 Windows OSを作ればそれだけで売れていた時代が終わりつつある今、同社はOSやモバイル端末、アプリケーション、クラウドサービスなど多岐に渡る製品群を備えています。さらに機能だけでなくデザインや使用感にもこだわり、エンジニアリングから事業開発、マーケティングまで部門の壁を超えて連携させています。

 製品製造からサービスビジネスへ、売り切り型から定額課金のサブスクリプション型へと、ビジネスの屋台骨を全組織レベルで転換させていることからも、その取り組み成果が見て取れます。

 このことは業績にも現れているようです。同社の2016年度の製品部門収益額は落ち込んだものの、サービス部門収益額は2014年度と比較して80%以上伸長し、今後も拡大傾向としています。さらに株価も2014年初頭と比べて約2倍になっています(2017年9月時点)。


 ところで第1回記事の公開後、いただいた感想の中に「米国企業で働いている知人は、よく家に持ち帰って仕事をしている」といった声もありました。そこで次回は、米国IT企業のビジネスパーソンにとっての「仕事と家庭の切り分け」や、「副業とどのように向き合っているか」などを紹介したいと思います。

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