(編集部注)本記事は、執筆時に公開されていた決算公告に基づいたものです。
クラウドサービスの導入支援やIoT基盤システムを提供するウフル(東京都港区)が10月31日、官報に掲載した決算公告(2017年6月30日現在)によれば、当期純損失は5億4400万円の赤字(前年同期は3億400万円の赤字)、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は5億7900万円の赤字(同6億6600万円の赤字)だった。
ウフルは06年設立。設立当初は中学・高校生向けのSNSサービスを展開していたが、08年ごろにセールスフォース・ドットコムをはじめとしたクラウドサービスの導入支援やシステム構築事業にピボットした。以後はそれらのマーケティング活用支援にサービスを拡大。現在は自社開発のクラウド連携支援システム「enebular」を起点としたIoTマーケティングなどに注力している。
15年にセールスフォース・ドットコムと三井物産から5.2億円を調達。17年9月には菱洋エレクトロ、村田製作所などからも資金を調達している。
社名のウフルは、スワヒリ語で「自由」を意味する。
今期の決算も前期に続き、大幅赤字のウフル。しかし、IT系の売上成長率をランキングするトーマツの「テクノロジー Fast50」では、直近4年間で3度受賞、17年は過去最高の9位にランクインしており、度々調達した資金は潔く成長に投資しているようです。今回の決算公告では売上高は不明ですが、前期の売上高は17億円強。上記のランキングによれば、今期は前々期の約3倍の売上を記録しているようなので、既に30億円レベルにまで成長していそうです。
売上の規模を見ていると、今後は上場に向かって利益率も上げていくフェーズに入ってもおかしくないウフル。しかし現在注力しているのは発展途上のビジネスであるIoT領域なので、まだまだ“掘る”か、赤字上場で資金調達して“さらに掘る”ような展開もあり得るかもしれません。今回のトーマツのランキングを見ていても、IT系の中では割と渋めの事業を展開するウフルが、これからどう仕上げていくのか、興味深いです。
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平野健児。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し「NOKIZAL」を運営中。
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