ソフトバンクとの買収合意に至ったロボット開発企業・米Boston Dynamicsの創業者マーク・レイバート(Marc Raibert)CEOは、ソフトバンクロボティクス主催のロボットカンファレンス「SoftBank Robot World 2017」(11月21〜22日)の基調講演で、4足歩行ロボット「SpotMini」を「第1番目の商品」として開発していることを明らかにした。現在、テストの真っ最中という。
SpotMiniは、屋内での活用を想定した小型ロボット。頭部には、複数の角度から同時撮影できるステレオカメラが付いており、これによって空間を立体的に認識。奥行き情報などを記録しているそうだ。
他にも、「BigDog」や「Spot」といった4足歩行ロボットや、バク宙に成功し話題になった2足歩行ロボット「Atlas」など、同社では先進的なロボットを開発している。しかし、このようなロボットはどのように使われるのだろうか。お掃除ロボットでもなければ、aiboのようなペットロボットでもない。その活用に期待する企業が基調講演に登壇したのだが、少し意外な分野だった。
その分野とは、警備会社と建設会社だ。産業用ロボットの分野であれば分かるが、このようなロボットをどのように活用するのか。
セントラル警備保障の鎌田伸一郎社長は、力強くこう話す。「ソフトバンクは『ロボット』『AI』(人工知能)、『IoT』(Internet of Things)を新しい成長エンジンとして3本柱に掲げているが、警備会社はまさにそのど真ん中にいる。警備会社は現在、人で成立している業界。技術の進展が必要な業界だ」
実際、警官25万人、自衛隊23万人に比べ、警備員の数は54万人となっており、現在の警備は人が中心。ロボットで代替できることはロボットに任せるというスタイルに移行したいのだという。ロボットに人の仕事が奪われるのではないかという議論もある中、鎌田社長は堂々と言う――「最終的には人。だが、8割の業務がロボットで代替可能だ」。
セントラル警備保障ではPepperの導入も真っ先に行い、「警備はロボットに代替できる」と考えているようだ。その理由として、従来は現場に行くまで何が起こっているか分からなかったが、ロボットを使えばそれが事前に分かり予防へとつながることなどを上げている。
「技術サービス産業への脱皮が必要だ」(鎌田社長)
一方、建設会社のフジタと竹中工務店も、人手不足などを理由に「建設作業のロボット化」を求めている。「例えばSpotの手を4手にしたら、操作性が上がって危険な場所の安全点検も任せられるようになるかもしれない」(竹中工務店 取締役 専務執行役員 岡本達雄さん)。
今回、「詳しくは……お楽しみに」と書かれた「新しいSpotMini」と題した動画が公開されたことからSpotMiniの登場を期待していたが、その期待はかなわなかった。しかし、その準備は着々と進んでいるようだ。
(太田智美)
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