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「定額制サービス」普及のカギは? 米国で広まるデータ・AI活用“日本が知らない”海外のIT(2/2 ページ)

» 2017年11月23日 09時00分 公開
[行武温ITmedia]
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 それは、家まで商品が届けられるという利便性と、自分が知らなかった商品に出会えるディスカバリーの要素だ。

 そもそも、サブスクリプションボックスの中身は、一般に市販されているものがほとんど。一般的なオンラインストアで買った商品も家まで届けてもらえることを考えると、サブスクリプションボックスにおけるディスカバリー要素の重要度はかなり高い。その上で、提案される商品はユーザーの好みにあったものでなければならない。

 この点について、マーケティングツールを開発・提供するHitwiseのJohn Fetto氏は、業界イベントの「Subscription Summit」にて「パーソナライズ化こそがサブスクリプションサービスのカギだ。キュレーションの精度を上げるために顧客から新たな情報を引き出すのを恐れるな」と語ったとForbsが報じている

 また、サブスクリプションボックスはビジネスモデル的にも、顧客単価を上げづらいため、いかにユーザーのニーズをつかんで定着率を上げるかが重要だ。

 そんな彼らの助けとなり得るのが、AIだ。先述のStitch Fixも設立の翌12年からAIを導入して業績を伸ばし、現在では60人ものデータサイエンティストを雇い、顧客データの解析やAIのトレーニングにあたっている。

AI Stitch Fix(同社のWebサイトより)

「選択」という行為のアウトソース

 Stitch Fixは設立当初から、忙しくてなかなか買い物に行けない人とショッピングがあまり好きではない人をターゲットにしている。

 趣味関連の買い物であればそのプロセスも楽しめるが、興味のないものは、商品をリサーチするのさえ面倒に感じるところはあるだろう。そんな人にとって、サブスクリプションボックスは選択のアウトソース先になっているのだ。

 人間が1日に下せる判断の数には限りがあるといわれており、「選択疲れ」という言葉の通り、不要な選択をすることで自制心が低下するという研究も発表されている。

 しかし、Armour BoxやStitch Fixのようなサービスを利用すれば、自分の好みや生活スタイルに合わせて自動的に商品が選別されるため、ユーザーは自宅に送られてきた商品数点を購入するか否かを選択するだけで済む。そうすれば、彼らはもっと自分にとって重要なことにエネルギーを使えるようになるだろう。

執筆:行武温

編集:岡徳之(Livit


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