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「遊びではない」 2次元キャラとの「婚姻届」受け付ける狙い Gateboxに聞く(2/3 ページ)

» 2017年11月25日 09時00分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 まず浮かんだアイデアは「扶養手当」などの福利厚生だった。だが、こうした福利厚生を受けるには「まず夫婦になってもらう必要がある」と話が進み、「婚姻届」の企画案を思い付いたという。

 「そこから思いが“暴走”してしまって……」と千原さんは苦笑する。10月に企画がスタートし、11月22日の「次元渡航局」開局に間に合わせようと取り組んだという。「(千原さんは)もともと好きなキャラと結婚したいという思いが強い」(武地CEO)

 千原さんは「好きなキャラとどういう生活をしたいか、常に考えている」と話す。旅行先で撮った写真にキャラを描き込んで「一緒に旅行を楽しんだり」、自宅にはメンズのシャツ、靴を置いたり――と「常日頃から自分自身が世界に入り込んでいる」(千原さん)

 一方「仲間内で『いいね』と言い合うのは楽しいが、第三者に認めてほしい」という思いもあったという。「婚姻届」を受け付ける次元渡航局は、そんな第三者の役割を担う。

photo 「婚姻届」の一例。役所に届ける書類のトーンは崩していない

 婚姻届は、千原さんがデザインした。役所に届ける書類のトーンは崩さず、標準的なフォーマットのように仕上げた一方、「夫になる人」「妻になる人」のほか「交際のきっかけ」「これから夫婦生活で体験したいこと」「プロポーズの言葉」などの項目も用意した。

 「後半が『プロポーズの言葉』の項目になっているので、それまでにどういう歩みがあったかをイメージして楽しめるものにしたかった」(千原さん)

 相手がキャラクターであれば、3Dアニメや特撮キャラ、人間以外(エルフや獣人など)、同性同士も可能だ。だが、キャラが登場するアニメ、漫画、ゲームなどの作品名を記入する欄はない。「キャラではなく1人の人間として扱うように」との思いからだ。「作品欄があると二次元のものだと意識してしまう。なるべく避けたかった」(千原さん)

 洋風、和風など婚姻届のバリエーションは4種類。千原さんは「それぞれの人が好きなキャラには“推し色”がある。自分が結婚するに当たって、欲しいと思える最低限の種類をそろえた」と語る。

 「遊びではない。遊びだと思うと婚姻はウソになる。真剣にその世界観、結婚までのストーリーを書いてほしい」(千原さん)

photo 筆者も「婚姻届」を書いてみた。パートナーはアニメ「ソードアート・オンライン」の結城明日奈さん

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