この記事は、「STORIA法律事務所」のブログに掲載された「萌えキャラ生成AIを題材に「AIビジネスと法律」を学ぼう」(2017年09月21日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。
AI(人工知能)に関するセミナーやお話をする機会が最近増えているのですが、いつも冒頭で「AIと法律・知財に関する問題領域の概観」をお話しするようにしています。「AIと法律」「AIと知財」は、とにかく論点が多いので、「それらの論点がどこの領域に関するものなのか」を意識しながら聞いて頂くと、より理解が深まるためです。
そこでいつも使っている図がこちら。
上の段がAIの生成フェーズ、下の段がAIの利用フェーズです。ただ、これはあくまで抽象的な図なので、より理解を深めていただくために「AIと法律・知財」に関する論点をカバーするような具体的事例がないかと思っていたところ、見つかりました。
Web系メディアの記者さんから教えてもらったサービスなのですが、深層学習で萌えキャラを作るWebサービス「MakeGirls.moe」です。
これは、各種パラメーターを選択して「生成」ボタンを押すと、AIが自動的に萌えキャラを生成するという無料のWebサービスです。
開発者のブログを見ると、深層学習の中でもGAN(Generative Adversarial Networks、敵対的生成ネットワーク)というフレームワークを利用して萌えキャラを自動生成しているようです。
実は、このサービスは「AIと法律・知財」に関する論点を理解するのに非常に適した題材です。例えば、このサービスを構築するに際しては、大量の萌えキャラデータを読み込んでキャラ生成用のAI(具体的には学習済みモデル)を生成する必要がありますが、そのようなキャラデータの読み込み行為はキャラデータの著作権侵害にならないのでしょうか。
また、それ以外にも
といった疑問点が湧いてきます。すみません、疲れているようです。1つ変なのが混じっていました。無視してください。
先ほどの開発者のブログを読むと、このサービスはAI生成に必要なデータとして、「Getchu」というサイトに掲載されているゲームの立ち絵キャラの画像を利用しているということです。
To teach computers to do things requires high quality data, and our case is not an exception. The quality of images on large scale image boards like Danbooru and Safebooru varies wildly, and we think this is at least part of the reason for the quality issues in previous works. So, instead, we use “standing pictures” (立ち絵) from games sold on Getchu, a website for learning about and purchasing Japanese games. Standing pictures are diverse since they are rendered in different styles for different genres of game, yet reasonably consistent since they are all part of the domain of game character images.(開発者のブログより)
もちろん、「Getchu」から許可を得て利用しているのであれば何の問題もないのですが、ここでは、仮に許可を取っていなかったとします。その場合にGetchu掲載のキャラをモデル生成に利用できるか、という問題です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR