NTTドコモが、実店舗でのキャッシュレス決済に本格参入する。4月に提供を始める「d払い」は、スマートフォンに表示させたバーコードやQRコードを加盟店が決済端末で読み取り、毎月の携帯電話料金と合わせて支払える。日本国内のキャッシュレス決済は「LINE Pay」などが先行しているが、ドコモの前田義晃執行役員は「電話料金合算払いとバーコード決済を組み合わせた新しいサービス」と意気込む。その勝算は。
d払いが他社サービスと差別化するポイントは(1)ドコモのスマホを使っている人であれば申し込み不要で使える、(2)クレジットカード決済以外にも毎月の携帯料金との合算払いが選べることだ。「キャッシュレス決済には“ホワイトスペース”(空白地帯)がある。クレジットカード決済を避けている人にも使ってもらいたい」(前田執行役員)
dポイントとの連携も特徴だ。d払いでは、dポイントを1ポイント=1円(税込)として支払いに使える他、利用分を差し引いた支払額に応じ、200円(税込)ごとに1ポイントがもらえる。dポイントをインセンティブに利用し、蓄積した顧客情報を自社やパートナー企業のマーケティングなどに生かす考えだ。
「長らく携帯電話事業者はお客さまを『回線契約者』と認識してきたが、多くのネット企業はサービスを利用する『会員』として捉え、サービスの枠を超えてデータを蓄積し、どんなものを提供するかを決めている。われわれもそのように取り組みたい」(前田執行役員)
また、加盟店への導入のしやすさをアピール。POSレジの改修が不要で、タブレット端末や店舗向けのアプリを準備すれば導入できる。1月17日の時点で、ローソン、マツモトキヨシホールディングス、タワーレコードなど10社、計1万9000店舗が導入を予定している。今後は、リクルートライフスタイルが提供する「Airレジ」と連携し、中小店舗への普及も目指す。
ローソンの野辺一也執行役員は、「ローソンではすでに『楽天ペイ』を導入しているため、(d払いの導入に)ハードウェアの投資は必要なかった」と話す。d払いの導入には現場の負担を軽減する狙いもあるという。
野辺執行役員によれば、ローソン店頭での支払いは現金決済が80%を占めている。「混雑時にできる行列を見て、買わずに帰る客がいる」「増えた小銭を紙幣に換金したり過不足を確認したりと、現場の手間がかかる」といった課題があるという。
「(d払いの導入は)決済手数料が新たにオーナーの負担になるが、キャッシュレス決済にすることでレジの通過数が増えるため、メリットがあると判断した」(野辺執行役員)
NTTドコモは今後もキャッシュレス化を推進し、決済サービスなど携帯電話事業以外での収益拡大を進めていくという。
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