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「段ボールを使って、昔やった工作がしたい」――「Nintendo Labo」が生まれた背景、宮本氏ら語る

» 2018年02月05日 12時21分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 「段ボールを使って、昔やった工作のようなことがしたい」――任天堂が家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」のコントローラー「Joy-Con」を使った“斬新な提案”を社内で求めたところ、そんな提案があったという。同社の宮本茂代表取締役らがこのほど、経営方針説明会で工作キット「Nintendo Labo」が生まれた背景を語った

photo Nintendo Labo

 Nintendo Labo(4月20日発売予定)は、段ボールで作ったピアノ、釣り竿、ロボットになりきれるスーツなどにJoy-Conを組み込み、Switchのゲームと連動して遊べる。例えばピアノでは、Joy-Con内蔵のモーションIR(赤外線)カメラを利用し、指で押した鍵盤を認識するなど、Joy-Conの機能を活用する。高橋伸也取締役は「『センサーの塊』ともいえるJoy-Conに、何かアタッチメント(付属品)を装着して使えないかと考えていたアイデアの1つとして生まれた」と話す。

 「段ボールを利用することにも意外性を感じてもらえたようだが、段ボールは少なくとも日本人にとっては小さいときから工作などで使用し、おしゃれなクラフトとしても慣れ親しんでいる素材。容易に『試行錯誤』できる素材であったということが非常に重要な点だった」(高橋氏)

photo ピアノ、釣り竿などを作れる

 まず社内で段ボール製の「ロボット」を試作したところ、完成に至るまでに試行錯誤する過程が面白く、「完成前後の補修作業、構造を理解することなども全部含めて面白い体験になる」と本格的な開発を決めたという。

 宮本氏は「『あんな商品の開発を承認するマネジャーたちもすごい」といった書き込みをネット上で読んだが、任天堂は『新しい娯楽を創造する企業』であって『ビデオゲームだけをつくる会社ではない』ということが社内で理解、徹底されている表れ」とし、「安心感を抱いている」という。

「男女問わずより広い年齢層に」

 一方、高橋氏は「これまでのところ(Switchは)どちらかというとゲーム愛好者の方々にとって魅力的なソフトが多くあった。これからは男女問わずより広い年齢層に魅力を伝えるのが課題と感じる」と話す。17年3月発売以来、Switch向けには「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」「スプラトゥーン2」「スーパーマリオ オデッセイ」など任天堂の人気IP(知的財産)を立て続けに投入してきた。Nintendo Laboはそんな課題に対する取り組みの1つという。

 「親子で遊んでいただく、または親御さんに見守られながらお子さんが遊ばれる、といった環境をつくることで、お母さん層の方々にも関心を持ってもらえればと思う」(高橋氏)

 同社は1月末、Switchの全世界での販売台数目標を1400万台(17年10月時点)から1500万台に上方修正。2018年3月期(17年4月〜18年3月)連結業績予想では、売上高を従来予想から600億円増の1兆200億円に引き上げた。

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