米Googleと系列の生命科学企業Verily Life Sciencesは2月19日(現地時間)、ディープラーニングによる網膜眼底画像からの心血管リスク要因の予測方法についての研究論文をNature Biomedical Engineeringで公開した。
狭心症や心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患は一般に、症状がないまま病状が進行するため手遅れになることが多く、世界的に主要な死因の1つになっている。病気の発見には、冠状動脈性CTスキャンのような高度な検査を必要とするが、Googleらの新手法では網膜眼底画像を撮影することで診断が可能という。
GoogleとVerilyの研究者らは、28万4335人の患者のデータで学習させ、2つの独立したデータセット(1つは1万2026人、もう1つは999人)で検証したディープラーニングモデルを開発した。このモデルで、被験者の網膜眼底画像から年齢、性別、喫煙有無、主要有害心イベントなどについてのデータを抽出し、心血管リスクを予測すると説明する。
このシステムでは、網膜のどの部分を注目すべきかを示す“アテンションマップ”を生成する。臨床医はこのマップを診断の参考にできる。下の画像は、網膜画像(左)から生成したアテンションマップ(緑色の線)の一例だ。
GoogleとVerilyの研究者らは、この研究を臨床現場に提供する前に、さらなる開発・検証が必要だとしている。今後も米国心臓協会をはじめとするさまざまな組織と協力し、医療への予防的アプローチの改善を目指すという。
VerilyはGoogle X内で立ち上げられ、GoogleがAlphabetによる持ち株制に移行した際、スピンアウトした医療企業。これまでスマートコンタクトレンズや病気の早期発見のためのナノ粒子などを発表してきた。
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