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仮想通貨「みなし業者」に「登録期限」提案 金融庁の研究会

» 2018年04月10日 15時38分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 金融庁は、仮想通貨交換業への制度的な対応の検討を進める。コインチェックから巨額の仮想通貨が流出したトラブルに加え、立ち入り検査により、「みなし」業者や登録業者の内部管理態勢に不備が見つかるなど、現状を踏まえ、研究会を設置。学識経験者、金融実務家をメンバーとし、消費者保護へ対応策を模索する。

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 研究会は、金融学者の中島真志氏(麗澤大学教授)、岩下直行氏(京都大学教授)、みずほ総合研究所の三宅恒治氏(金融調査部長)、井上聡弁護士(長島・大野・常松法律事務所)、坂勇一郎弁護士(東京合同法律事務所)ら12人のメンバーで構成。金融庁の登録を受けた交換業者16社が3月に設立する方針を発表した、新たな自主規制団体「日本仮想通貨交換業協会」の奥山泰全会長(マネーパートナーズ社長)もオブザーバーとして参加する。

みなし業者に「登録期限」、一目で分かる「共通マーク」提案

 「業界として早急に最低限のルールを策定すべき」――4月10日の第1回研究会では、メンバーからそうした意見が出た。業界団体の日本仮想通貨交換業協会は、統一したルールの策定を進めている。

 しかしメンバーの中島氏は「自主規制団体が、自分たちへ厳しいルールを課せるかは分からない」と指摘し、内閣府所管の金融情報システムセンター(FISC)などを中心に、第三者機関が取りまとめをすべきと話す。

 現段階で自主規制団体には、コインチェックは含まれていない。同社は、登録を申請中の「みなし業者」だからだ。金融庁は、2017年4月に施行した改正資金決済法により、取引所を登録制とした。ただ、それ以前に事業を始めていた業者は、登録期間を6カ月間猶予し、報告書の提出状況などに応じて延長している。中島氏は「過渡期の措置ではあるが、みなし業者の状態が何年も続くのは好ましくない。登録の期限を設けるべきではないか」と主張した。

 コインチェックは、トラブルが起こるまでは、大掛かりな広告を展開していた。中島氏は「ほとんどのユーザーがみなし業者とは思っていなかったのではないか」と指摘し、みなし業者であれば、自身のWebサイトにそれと分かる共通のマークを掲載するなど、ユーザーが一目で認識しやすい仕組みを設けるよう意見した。

 この他、匿名性が高くマネーロンダリングに悪用されるリスクがある仮想通貨「DASH」「Monero」などの取り扱い制限、仮想通貨FX(証拠金取引)などレバレッジ取引への倍率引き下げ――なども議論の対象になるとした。

 メンバーの永沢裕美子氏(Foster Forum 良質な金融商品を育てる会事務局)は「仮想通貨は、現状は決済手段より投機的対象として利用され、ギャンブルに近いものを感じる」と話す。広告の在り方なども含め、消費者へのリスク説明の姿勢を協議することを提案している。

photo 金融庁が4月10日に開いた仮想通貨交換業等に関わる研究会第1回

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