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» 2018年06月18日 06時23分 公開

ついサボってしまう人に……他人に作業を監視されるアプリ「JAILER」登場 理念は「アルゴリズムと闘え」 (2/3)

[岡田有花,ITmedia]

 アプリはAndroid専用。iPhoneアプリも開発したが、Appleから7回もリジェクトされ、まだリリースに至っていない。当初のリジェクト理由は「iPadに対応しなさい」など修正可能なもので、地道に直してきたが、最終的には「このアプリはAppStoreにふさわしくない」と企画そのものを否定されてしまい、にっちもさっちもいかない状態になっている。

 「AppStoreについては、アプリ名も変え、全く違うコンセプトでリリースするか、諦めるか悩んでいる」という花房さん。あまりに何度もリジェクトされるので、その悔しさを昇華しようと、小説を執筆している。「主人公が開発したiOSアプリが、えんえんリジェクトされ続ける」というストーリーだ。

自分を律するための努力をサービス化 「アダルトサイト見たらオナ禁ページにリダイレクト」

 計画を立ててもついついサボってしまう――花房さんはそんな自分にコンプレックスを感じてきたという。「manavee」開発中も、「気が向いたことはすぐ終わるが、やるべきなのにやりたくないことがいつまでもできず、仲間に迷惑をかけてきた」と振り返る。

 「環境を変えれば行動も変わる」と考え、あらゆる手を使って環境を構築してきた。例えばPC作業中、ニュースサイトをついつい見てサボってしまうので、Google Chromeの検索窓に「ニュース」と入力すると、Evernoteにまとめた「今日やるべき予定」が強制的に表示されるChrome拡張を自分で開発。現在も使っている。

画像 「ニュース」を検索すると表示される「今日やるべきこと」

 作業に不要なサイトはすべてブロックするChrome拡張も開発。SNSに没頭することを避けるため、TwitterやFacebook、mixiは退会した。また、「オナニー依存気味」なので、アダルトサイトに接続すると“オナ禁”に関する記事にリダイレクトするよう設定している。

 「PC入力中は生産的な作業をしているが、閲覧だけなら無駄な時間」と考え、Webブラウザを起動している時間のうち、入力作業を行っている時間を割り出すアプリも開発。入力の割合を上げられるよう努力している。

 さらに、「やるべきことに集中できない自分は、ADHDかもしれない」と考え、心療内科を受診してADHD治療薬を処方してもらうなど、「できない自分」を律するため、あらゆる手段を試してきた。

 そんな時、雑誌で「スマホ中毒」について取り上げている記事を発見。「ネット依存から脱却し、自分を律するために環境を整える」という方法論は、ADHD傾向のある人や自分自身を変えるだけでなく、スマートフォンなどデジタル環境に依存してしまう現代人の“治療”に役立つかもしれないと感じ、デジタルデトックスを起業。サービスの構築を始めた。

 最初に計画していたのは、目標達成のために“缶詰になる”スペースをリアルで提供する「クリエイターズジェイル」だ。京都府内に部屋を借り、作業に必要なものだけを持ち込んでもらい、作業の様子をカメラで監視。トイレや食事以外はひたすら集中して作業してもらうというもので、何人かに試験で利用してもらった。

画像 クリエイターズジェイルとは

 その結果分かったのは、「“監視されている感覚”があれば、場所は問わない」ということ。部屋に缶詰になっていても、カメラの死角にいれば何でもできてしまう。また、クリエイターズジェイルは、宿泊可能なスペースを借りる必要があるため3日で8万6000円と高額だったが、スマートフォンのカメラで監視するだけのサービスなら、もっと手頃な価格で提供できると考え、「JAILER」が誕生した。

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