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企業のAR制作、ハードル低く 配信まで一気通貫で エレコムとメガハウス「@AR」

» 2018年07月05日 21時15分 公開
[村田朱梨ITmedia]

 エレコムとメガハウスは7月5日、法人向けに、AR(拡張現実)コンテンツの制作から配信、視聴用アプリの開発までを一括して手掛ける「@AR」(アットエーアール)の提供を始めた。配信サービスの料金を月額980円に抑えるなどし、ARコンテンツ導入のハードルを下げる。エレコム商品開発部の楠祐介課長代理は「日本のAR市場は世界よりも遅れており、若年層向けのサービスが少ない」と指摘。「@ARで『ARの日常化』に取り組んでいく」と意気込む。

photo 発表会の様子

 @ARは、コンテンツ制作サービス「@AR Studio」、配信システム「@AR Station」、視聴用アプリ「@AR Player」の提供――という3つの要素からなる。

photo 「@AR」の特徴

 @AR Studioは、配信するコンテンツを持たない企業向けに、動画編集からCG制作、自社専用アプリの開発までをサポート。コンテンツの内容が定まっていない企業には、アイデアの提案も行う。実際の制作は、ディーワン(東京都渋谷区)が担当する。

photo @AR Studio

 配信システム「@AR Station」は、企業がWebブラウザ上で、配信する動画や音声などのメディアデータを登録すると、自動でクラウド上にアップロード。スマートフォンアプリ「@AR Player」(iOS/Android、無料)で視聴できる状態になる。配信後にメディアデータを変更したり、時間帯や地域に合わせて設定したりといった柔軟性も特徴だ。

photo @AR Station
photo @AR Stationの使い方

 配信サービスは、メディアデータの容量などに応じ、4段階のプランを用意する。最も安い「ウルトラライト」は、登録メディアが1つ、5MBまでで月額980円(別途登録料が1万円かかる)。

photo 利用料金

 視聴用のアプリ@AR Playerには、コンテンツをランダム再生し、おみくじやじゃんけんなどが遊べるようにする機能を用意。内容が変わることで、ユーザーに継続的に使ってもらえるよう工夫したという。この他、イベントの来場者だけが特典映像を見られるといった機能も搭載できる。

photo @AR Player

 既に京都国際マンガミュージアム(京都市)が@ARを活用した期間限定の展示を、9月から開催すると決めている。アニメイベント「サンライズフェスティバル2018光焔」(東京・新宿)では、7月15日に上映するアニメ「銀魂」で@ARを利用する予定だ。

 今後3年間で、1万の顧客企業の獲得と、累計30億円の売上を目指す。

photo 発表会で展示していたARコンテンツの例

バンダイナムコのIP活用も検討

 一方、エレコムとメガハウスも、自社のサービスに@ARを活用する。エレコムは、スマホをかざすとラーメンやティーカップの蓋に動物が現れる「@ARヌードル/ティーカップカバー」(仮)や、組み立てると動物の鳴き声などが聞こえる「@ARペーパークラフト」の販売を予定している。

photo @ARヌードル/ティーカップカバー(仮)

 メガハウスは、7月下旬に発売予定の変形マシン「ヴァリアブルアクション Hi-SPEC 新世紀GPXサイバーフォーミュラ スーパーアスラーダ 01」の特典として、@AR Playerで視聴できる3D映像を提供予定だ。今後同社は、バンダイナムコグループのIP(知的財産)の利用も検討している。

pnoto ヴァリアブルアクション Hi-SPEC 新世紀 GPX サイバーフォーミュラ スーパーアスラーダ 01

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