「この魚はマダイちゃんでギョざいます」――AI(人工知能)技術を活用し、写真から魚の種類を判別するスマートフォンアプリ「フィッシュ」(iOS/Android、無料)が登場した。80種類(7月13日時点)の魚を判別し、名前や科目、どのような料理に向いているかなどを教えてくれる優れモノだ。
釣り船予約サイトなどを運営するB.Creation(兵庫県芦屋市)が開発した。予約サイトを通じ、釣り人から集めた約300万点の魚画像をデータベース化。画像1枚1枚の魚の種類を人力でタグ付けし、AIに学習させたという。
ネット上では「面白い!」「釣りが楽しくなりそう」といった声がある一方、「人力で300万枚にタグ付け?」「気が遠くなる作業だったのでは?」と苦労を察する声も上がった。しかし「現場はそこまで大変とは思っていない」(同社の開発スタッフ)という。開発の舞台裏を聞いた。
同社は「釣りに関連するデータ全てをデータベース化すること」を目標の1つに掲げ、10年以上前から釣り人の魚の写真を収集し、タグ付けしてきたという。同社によれば、作業のペースは1日当たり約1000〜3000枚だった。
「コツコツと積み上げてきたものなので、現場はそこまで大変とは思っていない。ただ、この量をこれから(他社が)追い抜くのは、なかなか難しいとは思う」
作業を担うのは、15人の「在宅ワーク部隊」。始めた当初は「釣り業界で著名な方々にチェック、監修をお願いしていた」というが、10年以上、取り組んだ彼らは「魚のプロ以上の目利き能力を身に付けていると自負している」という。
しかし「データを人力で収集、保管、整備するのは限界がある」と考え、AI技術の活用も始めた同社。社内だけでなく、ユーザー向けのサービスにも応用できないかと、魚種判別アプリを開発した。だが、その道のりは長かった。AIに画像を学習させる方法の研究には、約1年半を費やしたという。
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