思い切って近寄り、目元にピントを合わせてみました。絞り値は解放のF1.4のため、被写界深度はかなり浅く、目やまつげに辛うじて合っている程度。しかしピント面はしっかりと描写されています。ピント面からのボケのつながりは素晴らしく、立体感のある上品なボケ味です。
画面内に太陽を映し込むような厳しい構図をいくつか試しましたが、ゴーストが写ったカットは1枚もありませんでした。直接太陽を写し込む構図ではややフレアが発生しますが、被写体のコントラストの低下は少ないです。
ただ、後ボケに建物などがある場合、空との境目がやや「塗った」ようなボケになる印象を受けるシーンもありました。
それを除けば、“レンズの味”と呼ばれるような諸収差が押さえ込まれた、現代的なシャープで素直な描写といえます。ゴーストがないため「物足りない」と感じなくもないですが、ハードなライティングを要求される撮影や、現像やレタッチで後から追い込むにはこのような現代的な描写の方が圧倒的に有利です。オールラウンドに描写力を発揮してくれるレンズだと筆者は思います。
筆者は、以前に「ポートレート撮影には『標準単焦点レンズ』を使え!」という記事を執筆するほどの標準好き。本レンズは使いやすく、好みの焦点域で、前評判通り使い心地も抜群でした。
発売時期は、メーカーの開発表明時に目標としていた18年春頃から遅れ、やっとの登場となりましたが、質実剛健さを感じさせる素晴らしい出来栄えです。全てのPENTAX K-1/Mark2ユーザーの方に、ぜひ手に取って頂きたい最高のレンズの1つです。
(モデル:八木 栞菜 @YK__1025)
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